毒よりもなお

カウンセラーと自殺願望の高校生の物語である。カウンセラーと高校生が初めて会ったのは、図書館内で開かれていた出張カウンセリングの所である。そこで高校生が悩みを打ち明けたのだが、その時に初めて自殺願望であることが明らかとなった。しかもその高校生から明かされたのは、ある「サイト」である。

今となってはあるかどうかもわからないのだが、10数年前には「裏サイト」や「闇サイト」と呼ばれた中で、自殺サイトというものがあった。当時は「練炭自殺」による集団自殺が立て続けに起こったことをテレビで何度も目にした。

高校生から打ち明けられた「サイト」はカウンセラーが8年前に出会ったある人物だった。その人物はサイト管理人である一方、その人と知り合うこととなった。ところが、その人物は連続殺人犯として捕まり、死刑判決を受けることとなった。その8年間の中でどのような事があったのか、そこには「青春」と裏にある「孤独」が入り交じっている様な気がしてならなかった。