本書は出版されたのは2018年であるため、現在では少し状況が変わっているかもしれない。というのはそもそも東京オリンピックは新型コロナウイルスの影響により、現時点で2021年に延期することが決まったのだが、終息するかどうか不明の状況のため、今後開催面も含めてどうなるかわからない。そのため今年以降の業界地図としてどのような企業が伸びるのかと言うことを念頭にして見ておいた方が良い。
第1章「電気自動車で儲かる企業群【パート1】」
自動車業界はほとんど「EV化」へと舵を切っている。その「EV化」へとシフトしていく中で、部品などで儲かる企業群が数多く存在するのだが、本章と次章とで紹介している。本章では、EVの心臓である「電池」が主軸となる。電気による技術が心臓を握っていることもあり、電池開発も盛んに行われている野田が、どのような電池の開発を行っており、その先鞭をつけているメーカーはどこなのかも取り上げている。
第2章「電気自動車で儲かる企業群【パート2】」
本章では半導体やアルミやカーボンなどの素材、タイヤ、ガラス、インバーターやコンバーターなど、ようは「電池以外」の全て所で儲かっている企業はどこなのかを取り上げている。中には(ニューイヤー駅伝などで)よく知られている企業も存在する。
第3章「外国人相手に稼ぐ企業」
ここ最近では議論もくすぶってきているのだが、カジノを含めたIR推進と言った議論が盛んに行われている。特にインバウンドにて外国人観光客を呼び込むために誘致ししている地域として本章では和歌山県や長崎県などを取り上げている。他にもカジノを公平に運営していくための「セキュリティ」も必要なのだが、セキュリティ対策として貢献している企業もまた取り上げている。
第4章「イスラム関連ビジネスで伸びる企業」
企業の海外進出となると中国やアメリカ、ヨーロッパなどを連想するのだが、イスラム系の国々への進出を行っている企業もあり、その国々の国民にも人気があるのだという。このイスラムでビジネスを展開していくためには「ハラル認証」が避けて通れない。「ハラル」とは、
イスラム法で許されているものを「ハラル」といい、逆に許されていないものを「ノンハラル」という。「ノンハラル」の代表的なものは豚や酒だろう。p.124より
とある。つまりはイスラム教の戒律でOKとなるものが「ハラル」となる。実際に世路を認証する期間も国内外と認証団体があり、原料・製造・製品全てにハラル認証を受けることが望ましいとされている。本章で紹介されている企業はいずれも、ハラル認証を受けており、中には全国展開しているチェーンの中にハラル認証を受けて、対応を行っている所も存在する。
第5章「国内の少子高齢化に勝つ企業」
日本は少子高齢化と呼ばれて久しいが、その対策をしっかり行っている企業も少なくない。特に本章では日本よりも海外の売上に重点を置いている企業を取り上げている。
第6章「社会貢献企業に投資しよう」
ここ最近では「SDGs(持続可能な開発目標)」が声高に叫ばれ、企業でもそれに準じた事業を行うことが盛んになっている。ようは利益は上げながらも、「社会貢献」にシフトしていき、企業の価値を上げるといった動きである。もちろん投資家も社会貢献の所は見ており、特に投資の観点から「貢献」を行っていく中では「社会貢献」は避けて通れないものとなっている。
本書は「五輪後」としているのだが、もっとも社会貢献のみならず、海外の文化や考え方にも合致するような企業、あるいは日本の諸問題に対して対応できている企業が生き残ると言える。生物にはダーウィンにある「生き残るのは変化のできるもの」とあるが、これは企業や団体などの経済的な集団でも言えるのかもしれない。
2020年以降の業界地図 東京五輪後でもぐんぐん伸びるニッポン企業
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