紀元前にローマ帝国が席捲し、「パクス・ロマーナ(ローマによる平和)」をもたらした。その基礎を築いたのが、ガイウス・ユリウス・カエサルだが、後を継いだのがカエサルの養子であるアウグストゥスである。武装蜂起や内乱などを戦い抜き、ローマ帝国を築き、初代皇帝となった。世界で初めて「帝国」という「国家」をつくり上げ、元首政を敷き、「パクス・ロマーナ」となった。最も大きな功績であるのだが、細々とした功績を挙げると枚挙に暇がないほどである。
古代ローマにおける最も重要な人物であったのだが、歴史的な史料はそれ程多くない。そこで本書である。史料を読み込み、調査を進め、作り込んでいった創作の小説であるのだが、アウグストゥスがなぜパクス・ロマーナを築き上げてきたのか、書簡などの史料をもとに壮大な物語を紡いでいる。
「国家」そのものを築き上げてきた中での葛藤や背景、さらにはアウグストゥスの周囲にいる人々の関わりが活き活きと映し出され、古代ローマの壮大な物語を味わうことができる一冊である。
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