まだ先の話であるのだが、12月はクリスマスのシーズンである。新型コロナウイルスの影響により、どのようなクリスマスになるのかは未知数であるのだが、それぞれのクリスマスがあることには変わりない。
その「それぞれ」という度合いが強くあるのが本書である。主にアウトローと言われる男女たちがどのような境遇の中でクリスマスを迎えるのかについて描かれている。
クリスマスの時期というとときめくような時期なのだが、本書の舞台が舞台なだけに、厳しい「現実」が突きつけられる。しかもその「現実」は容赦なく、なおかつ本書に出てくるキャラクターそれぞれの事情が重なる。本書は表題作を含めて5編取り上げているのだが、ある意味ルポルタージュに近く、丹念に取材されており、もちろん小説であるため、創作の部分はあるものの、取材された膨大な事実をもとにしているため、世界観がスッと入っていける一冊と言える。
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石井 光太 文藝春秋 2017年10月13日頃
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