本書は架空の俳人である月岡草飛の謎について追っている短編集である。もっとも作品集を見ていく中で月岡草飛の放蕩ぶりや、突飛な行動などが目立つなど、俳人というよりも、ある意味「廃人」と言うほかない様な人物のように思えてならないが。
自由気ままに生きる月岡草飛の周りには、異質なものが舞い込むのだが、実際に欲望のまま突き進んでいった先が異世界なのだから、ある意味ナンセンスな物語である。よくあるラノベの異世界転生というよりも、むしろ「たまたま異世界に着いてしまった」というものだから面白い。
また月岡草飛は様々な場所に繰り出しながら依頼を解いていくと言うものであるのだが、ミステリーではなく、異界ものやナンセンスに分類するとも考えられる。短編集であるのだが、どれも面白味がありつつ、何ともシュールさが際立つ一冊であった。
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