SIGNAL シグナル

SF

本書は「電波」を解読するまでのことについて描かれた一冊である。学生の頃にとある星雲(と言ってもウルトラマンらの故郷ではない)から届いた電波から物語は始まる。本書の主人公は当初は中学生であったが、この星雲からの電波が出たことに興奮し、ある先輩の元へと赴く、「先輩」は自らも天文に興味を持っていたものの、無口で変わった人だった。

そしてその「先輩」は天文学者となり、電波の解読に成功する。しかしその電波はどのようなメッセージなのかを巡って、さらなる波乱を呼ぶこととなった。学者となった「先輩」は相変わらずの「変人」ぶりを見せるのだが、根底には電波に送られたメッセージが何を意味しているのか、である。それはメッセージを送った元に地球外知的生命体がおり、地球へと赴くのだろうか、などの多くの憶測が言われるようになった。そしてついにその「先輩」がメッセージを明かすことになったというものである。

宇宙に限らず、「未知」と呼ばれるものに対しての反応は人それぞれである。中には恐怖を覚えてしまい、地球が滅びるのではないかという憶測を呼ぶ人もいるのだが、本書の電波(シグナル)もまたそのような分類に入るのではないかと邪推してしまう一冊であった。