象牛

洗剤などの注意書きには特に塩素系や酸性のもので「混ぜるな危険」と言う言葉がある。これは2つのものを混ぜてしまうと塩素系ガスが出て命に関わる事になってしまうことを注意してのことである。

しかしここ最近ネットでは異なる、というよりも相容れぬ2つの要素を混ぜ合わせることでの「混ぜるな危険」と言う言葉がある。混ぜてしまうと「その発想はしてはいけなかった」という自責の念に駆られて、心身に関わる。

与太話はさておき、本書ほどある意味「混ぜるな危険」と言える、もちろん後者の意味で。それはインドのヒンドゥー教と大阪、しかもガンジス川と淀川を組み合わさった、本書の帯には「ケッタイ」と書いてあるが、ケッタイどころではない奇天烈な物語である。さらに本書のタイトルも象と牛と両方似たものの「何か」である。その「何か」に翻弄される男性と女性の姿がなんとも印象的である。また他にも「星曝し」も収録されており、こちらはピュアな感情、恋にも似た感情をありありと示している。

「恋」の作品と「濃い」作品。この2つはまさに「混ぜるな危険」の一冊である。