サンライズパブリッシング様より献本御礼。
競馬にしても、屋外スポーツにしても、「天気」と言う概念は切っても切れないものである。よくスポーツで言う所の「コンディション」と言う言葉があるが、その一つが雨や風といった天候がある。その天候は自身ではコントロールできず、読み抜き、どう戦うかとといった判断を行い、変化を行うことが大切である。その天候と試合について本書ではスポーツと競馬、両方の観点から取り上げている。
第1章「気象と「風」を知る」
本章の冒頭で取り上げているのは、マラソンのQちゃんこと高橋尚子が、2003年、アテネ五輪選考レースの一つとなった東京国際女子マラソンにおいて強風の中で走ったが、30㎞過ぎに巣南な切れにより急激にペースが落ちてしまい、連勝を続けていた記録が途絶えた。
もっともマラソンや駅伝は風に影響しやすく、風の強さ・向きによってタイムなどが左右する。箱根駅伝でも2013年に最大風速18mの向かい風と寒さにより5区山登りで2校が低体温症と脱水症状で途中棄権したほどである。途中棄権ではなくても思いも寄らぬドラマが待ち構えると言うこともある。
特に屋外スポーツでは「風を読む」こともまた一つの技術であり、読み解くことの大切さを取り上げている。
第2章「風は武器になる~野球・競輪における影響力~」
風は敵にもなり、味方にもなる。どっちにでもなるのであれば、味方の方が良い。野球の場合はホームラン、さらには競輪について空気抵抗でどのようにして味方につけるかを紐解いている。
第3章「競馬を天気で予想する~季節馬は天気で特定できる~」
さて、競馬の話である。競馬にしても馬が走ることがあり、コンディションが非常に大事になってくる。それも人間が思っている以上に。
気温や天候、さらには風などの状況を始め、コースの水分など、要素は様々である。競馬予想を行っている方々の中にもこういった天気をキチンと予測するような人もいるかもしれないが、どのように分析をしているのかがよくわかる。
第4章「「風」という競馬の新たな視点」
本書は「風」にスポットを当てている。第1章でもマラソンが風に影響を及ぼすことは言及しているのだが、馬は人間を上回るほど影響は大きい。目に見えてわかるのが、身体の大きさに表れている。そう「空気抵抗」がどれくらいかによって変わるのだが、本章で会う「風圧」や「風向」と言ったところを事細かに取り上げている。主要の競馬場の特徴から、風速によって勝利の傾向に至るまで、詳細に分析されている。
第5章「気象データが競馬をもっと楽しくする」
天気の中で風の計測については競馬場や球場など、様々な場所で観測器を設置しているという。その観測器の精度がどうであるかも知る必要があるなど、重要ではあるのだが、かなりマニアックな所にまで言及している。
競馬もそうであるのだが、特に屋外のスポーツの放送を見ると気温や天気、風速などが表示されることが多い。しかしながら、それだけが判断の全てではなく、現地の状況との差も出てくる。局地的な予報としての天気予報もあるのだが、それは本書の著者が代表を務めるスポーツウェザーにて行っている業務の一つである。競馬を始めスポーツを楽しむ、それも少し深い領域で楽しむと考えると本書の様に気候条件を細かく分析することもまた一つである。
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