臆病な詩人、街へ出る。

中学の時代から詩を始め、高校になった頃には現代詩の中でも権威ある賞の一つである「中原中也賞」を受賞するなど、賞を総なめにしてきた。そのため「早熟の天才」と言われるようにまでなった。

しかし大学へ進んだ後は著者自身「冴えない女」と自称するようになった。なぜ「冴えない」と自称したのか、そこには、

就活経験ゼロ、恋愛経験も未熟。残されていたのは、世間知らずで平凡な「冴えない女」だったp.3より

とある。ないない尽くしの中で、アイドルのオーディションに参加したり、フィンランドに渡ったり、TV番組に出演したり、本屋で働いたりしたことなどをエッセイにしてまとめたものが本書である。元々「cakes」にて2016年1月~2018年2月まで連載していた同名の記事集が元となっており、そこから加筆しているものである。

おそらく世間一般で言われる方々とは異なる道を進んでいるのだが、それでもなお詩人として「文月悠光」として歩んでいる足跡がそこにある。「ないない尽くし」といいながらも、自らの「場所」を探し求めている姿がここにあった。

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