しょぼい喫茶店の本

元々中野区にある新井薬師門前通の所に一風変わった喫茶店があった。その喫茶店の名は「しょぼい喫茶店」と言う名前、いかにも貧相な名前のように見えるのだが、実は当時の現役大学生が開業した喫茶店である。就職活動に疲れ、うつ病にかかった著者が周囲の支えによって開いた店である。そのきっかけと開店するまでの道のりについて取り上げているのが本書である。

第1章「僕は働きたくなかった」

「働きたくない」と言うとニートの発想であるのだが、実際に著者は人の顔色をうかがう、あるいは自己嫌悪に陥るなど、の感情が強く、なおかつ自信を持つことができなかったようである。海外留学を行ったのだが、全くと言っても何も行っておらず、なおかつ帰国してからも目立ったことはやっていなかった。その中で厳しい就活戦線で戦うことができず、1社も採用をもらうことができなかった。しかしニートになるのは無理だ。やがて自暴自棄になり、自殺までしようと思うようになった矢先、ある人のTwitterとブログ記事で一念発起した。

第2章「100万円ください」

この一念発起によって、感情は自殺寸前の負の感情から脱しつつあった。一念発起というのは店を開業することだった。喫茶店と決めたのは「なんとなく」。しかし開業をしていくにも資金が必要である。その資金の調達方法は意外なところで行うことができたのだという。

第3章「しょぼい喫茶店の誕生」

物件探しを経て、2018年3月1日に「しょぼい喫茶店」が開店した。Twitterを通じて来店される方も数多くおり、一気に繁盛した。しかもその繁盛が、メディアの取材依頼が殺到するなど、予想外の反応に驚いたという。上々の売り上げだったのだが、事業主ならではの悩みにはまることもあった。

第4章「このままでは潰れる」

一過性のブームとなるのだが、そもそも「ブーム」となると、過ぎ去る時が来る。しょぼい喫茶店もまたそのブームから去った時には売上が落ちた。要因はいくつもあるのだが、著者自身のこと、そして変化がなかったことなどがある。その現状を打破するために、いくつか対策を講じてきたという。

第5章「魔法を信じる力」

人は誰しも優秀だったり、完璧だったりするのではない。そう思い込むことと、そうなることを目標にして邁進していったことによってなるのである。試行錯誤を繰り返しながら、再び繁盛するためのチャレンジを行ってきた。

第6章「グルーヴはひとりじゃ生まれない」

元々この喫茶店を始めてから、ずっと一人でやって来たわけではない。パートナーがおり、経営している最中に結婚、出産と言った経験があったという。そして飲食店開業についてどうしたらよいか、自らの体験談をもとにして取り上げている。

冒頭にて「喫茶店があった」と記載しているにも理由がある。実はこの「しょぼい喫茶店」は今年の2月29日を持って閉店したためである。閉店後についての情報は探していった中では見つからなかったが家族と幸せな時を過ごしていると願いたい。