出身成分

「出身成分(しゅっしんせいぶん)」とは、

「北朝鮮における住民の政治的地位を規定する階層制度、およびその階層を指す語。「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3種からなる。核心階層は統治階層で、党の幹部や革命遺家族からなり全人口の30%。動揺階層は全人口の5割を占める基本階層で、大部分が地方に住み、特別な許可がなければ平壌に入ることはできない。敵対階層は反動分子とされる人たちで大学進学や党、軍での昇進資格が剥奪されている。」本書チリ部分より

とある。日本をはじめとした諸外国では身分については暗に言われていても、明確に差別しない中で、北朝鮮は制度化している。

本書は北朝鮮から亡命した、いわゆる「脱北者」の証言をもとにして、北朝鮮の事件を捜索したミステリーである。北朝鮮というと首都の平壌をイメージされる方も多いのだが、本書で取り上げるのは平壌の「郊外」にある場所である。平壌と他の地域との差はどこにあるのか、そしてその殺人事件であぶり出される北朝鮮の実態とはどのようなものか、その姿がよくわかる一冊である。