「農業」と言うと衰退の一途を辿っているという印象を持たれる。その一方で、これからの農業は明るいと言ったニュースも見聞きする。特に前者の方が色濃くあり、年々農業人口が減少し、さらには自然災害に伴い、売上が激減、さらには今日のコロナ禍により、廃業をされる方も多くいるという。
そこで本書である。本書の著者は営業マンを経てブルーベリー農園を起業し、大ヒットした著者がどのようにして成功させていったのかを取り上げている。
Chapter1「なぜブルーベリーだったのか?」
営業マン時代はトップとはほど遠い、自ら「うだつの上がらないサラリーマン」だったという。そこから辞めようと考えたときに真っ先に始めたかったのが農業だったのだという。その農業の中でなぜ「ブルーベリー」を選択したのか、その要因と出会い、そして農業を行っていく中で効率的・合理的な農業を行う考えについてブータンに赴き、知ったという。
Chapter2「理念、戦略、ブランディング」
その体験の中で開設したのが、愛知県岡崎市にある「ブルーベリーファームおかざき」である。農園であるだけに、ブルーベリーの生産もあるのだが、他にもブルーベリー狩りの体験ができるなど、「体験」も売るなど、単純な農園ではなく、「観光農園」としての役割を担っている。
Chapter3「めざすは生産性の高い農業」
農業を行っていく中で基軸をおいたものの一つとして「生産性」である。日本ではGDPが世界3位でも労働における生産性が低いとされている。さらに農業に目を向けると、その度合いはさらに低いとされているという。それを打破すべく、生産性の高い農業を基軸の一つとしている。
Chapter4「無人栽培」
その生産性を高めるために行っていることの一つとして「無人栽培」である。栽培管理や除草作業というと、機械を行うとはいえど、手作業で細かく行うことがよくある農作業としてあるのだが、そのよくある「あたりまえ」を疑い、いかにして作業を人の手を借りずに行うのか、その手法を取り上げている。
Chapter5「観光農園システム」
Chapter2でも取り上げた「観光農園」についてもシステム化されているという。どのようなシステムなのかというと、観光農園と、生産したブルーベリーの出荷をどのようにして行っていくか、といった流れをあらかじめ決めており、オーナーとして何をするのかといった仕組みもつくっているという。
Chapter6「IT集客」
「観光農園」をつくるのだから、集客を行っていく必要がある。集客を行うとなると、チラシを配ると言った事を連想するのだが、著者は「IT」を駆使して、広告宣伝を行い、集客をすることを行った。今となっては当たり前に存在しているのだが、著者が行い始めたのは2008年頃、行われ出したとは言え、当時は少なかった。
Chapter7「農業を志す方へ」
農業は「斜陽産業」と言われている。それだけ衰退の一途を辿っているのだが、実際には農業ほど「伸びしろが存在する業界」は無いと喝破している。農業を始めるにしても、どのように始めたらよいか、そしてどのように考え、変化を行ったらよいかを提示している。
Chapter8「人生を変えたいあなたへ」
人生は誰にでも変化することができる。元々サラリーマンだった著者が農家になるまでにどのような「問い」を行ったのか、そして好きなことを見つけ、行っていくためにはどうしたらよいかを伝授している。
「農業」と言うと悪いイメージが色濃くあるのだが、そのイメージを覆し、観光農園として成功した著者がこれから農業をどのように変えていくかということと、そして「変わることができる」と言うことを教えてくれる。
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