昨年の大河ドラマは、「いだてん〜東京オリムピック噺〜」だったのだが、その主人公が本書で紹介される金栗四三である。金栗と言えばオリンピックのマラソン選手として活躍した一方で、箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)の開催に尽力した人物である。もっとも箱根駅伝と金栗の母校である東京高等師範学校(現:筑波大学)とは縁が深く、第1回の総合優勝も東京高等師範学校であり、そして2004年から始まった金栗四三杯(大会MVP)も筑波大学の選手であり、そして昨年「いだてん」が放送された時期も筑波大学が26年ぶりに箱根路へと戻ってきた記念の年でもある。
本書の話に移る。本書は金栗の生涯のなかで3度挑んだオリンピックの記録を小説にしたものである。1912年に開催されたストックホルム、1920年に開催されたアントワープ、1924年に開催されたパリと3つの大会は全て「敗北」と言う言葉がつきまとう大会だった。実際に完走したのはアントワープの1回だけで、後は棄権となっている(JOCの記録による)。
敗北の度に日本におけるスポーツ振興、特にマラソン進行への思いを強くしていった。そしてそこから箱根駅伝ができ、日本における長距離の発展へとつながっていた。そう、まるで箱根の襷の如く。
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