会社員が消える 働き方の未来図

「会社員」と言う言葉は俗に「サラリーマン」と呼ばれることがある。もっとも会社の中で働き、給料を受け取るといった職業のことを指す。もっとも「会社員」や「サラリーマン」の概念は戦前からも存在しており、結構前であるのだが「サラリーマン誕生物語」にて書評も行ったことがある。戦前とはいえど20世紀であるため、「20世紀の産物」と言われており、21世紀になった現在でも存在するのだが、このところ会社員そのものが消えると行った論調が目立つようになった。本書はその一つであり、会社員はなぜなくなるのか、そして新しい働き方はどうなっていくのかについて取り上げている。

第1章「大企業がなくなる―モデルチェンジする企業」」

会社自体は日本では珍しく100年以上続く会社もちらほらある。とは言えど、ずっと安定的に続けられると言うわけではなく、明日倒産すると言うような突発的な事態もありうる(もちろん前触れもあるのだが)。さらに言うと、新しい会社も続々と出てきては倒産すると言った繰り返しがあり、なおかつ個人事業主も多く出てきており、会社勤めでなくても、仕事を行っている人も少なくない。

第2章「日本型雇用システムの限界―これまでの働き方の常識は通用しない」

もっとも会社員、サラリーマンを支えてきたのが「日本型雇用システム」であるのだが、そのシステムもシステム上限界の兆候が見られる。理由としては働き方そのものの多様化や労働観の多様化と言ったものが数多くある。もっとも時代が変わるとなると、技術や概念が変わることもまた必定である。そのため雇用システムそのものが変わりつつあるのだが、どのようにして獲得し、守っていくべきかを提示している。

第3章「働き方の未来予想―技術を味方につけて自律的に働く」

既にニュースでも触れられているのだが、新型コロナウイルスの影響により、働き方そのものも変わらざるを得ない状況となった。もっともテレワークはコロナ以前にも概念はあったのだが、浸透しているかというとほとんど浸透しなかった。しかし今年の春頃からコロナ禍における緊急事態宣言にともない、テレワークの推進が急速に進んだ。とはいえ緊急事態宣言解除により元に戻った会社も少なくない。本章では法整備のことを指摘しているのだが、急速に進んで、戻った背景を見ると、私たち働き手の仕事に関する考え方によるところもある。

第4章「新しいセーフティーネット―企業に帰属しない働き方へのサポート」

会社員とフリーランスなどの個人事業主とでセーフティーネットの差は歴然である。もっともフリーランスとなると、様々な企業において業務委託契約を行うと言ったことで仕事はもらえるのだが、給与などの待遇はどうなっていくのかがある。現に業務委託を隠れ蓑にした労働にまつわる出来事も存在しており、公助・共助双方の面で考える必要がある。

第5章「「時間主権」を取り戻せ―人生100年時代に必要なスキルとは」

長寿化が進み、働かなければならない年数も増えていった。そのため働くこと、学ぶことなど社会的に生きるためにはどうしたらよいか、キーワードとして「時間主権」がある。

会社員はこれからも存在すると思えるのだが、働き方の概念自体は変わっていくことは確かである。テレワークは急速に進んで戻ったと書いたのだが、今もなおテレワークは広がりつつある。それは技術の進歩もあるのだが、新型コロナウイルスの影響も少なくなく、同時に働くことに対する考え方の変化もまた挙げられる。そう言う意味では働き方自体はこれからも変わることは間違いないのだが、どのように変わっていくかは見物である。