スタンドアップ!

本書の帯には

これは現代版『ロッキー』だ!

と書かれていた。ロッキーは恋人のために、自分のために闘う姿を描いているのだが、本書はむしろDVの夫から逃げて、自分で何かができる証明としてボクシングに出会い、闘うといったものであるため、本質的には異なる部分が多い。しかしながら、逃げない、立ち向かうと言う姿勢はロッキーに似通っている所はある。

もっとも夫のDVから逃げだし、実質的なシングルマザー(離婚したという表現は見られなかった)となり、生計を立てるために職に就いたが、今度は健康的なリスクにより、ボクシングジムの門を叩いた。元々はダイエットなどの目的だったのだが、本格的なボクシングの道へと歩んでいったというものである。

しかしそのボクシングジムも窮地に立たされており、試合が行われるかのピンチ、さらにはボクシングのトレーニングでも多大な費用がかかるのだが、その費用をまかなうための苦しい戦いなどもある。女性の戦い、ボクシングジムとしての戦い、それぞれの戦いの姿が映し出された一冊と言える。