本来であれば、被害者であった主人公がいつの間にか加害者として世間から手中砲火を浴び、心を閉ざしてしまった。閉ざした先に危険なことが次々と降りかかるという救いようのない展開が続くという、鬱展開がずっと続くような一冊である。
とはいえ、その主人公には仲間がおり、その仲間の支えによって閉ざした心を取り戻しつつあった。しかしながら主人公の周りには新たな「事件」が起こり、主人公を絶望の淵へと落とす。絶望の中で人を好きになろうとしている主人公。彼の結末はと言うと、決して良いものではなかった。
サスペンスに分類する小説であるのだが、中身はと言うと絶望などネガティブな展開に終始しており、読んでいくうちに負の感情が溢れてくることとなる。読む際には相応の覚悟が必要であると同時に、ネガティブな感情が支配されているときに読むと、底なし沼の如く感情も悪くなっていくことから、気分がよいときに読んだ方が良い。
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