日本の戦争映画

映画には様々な種類があるのだが、とりわけ戦争映画ほど、物議を醸すジャンルはないと思われる。方や「戦争を美化している」、方や「国を悪者にしている」といった論調があり、タチの悪いことに映画そのものを見ずに批判をする。もっとも映画に込められたメッセージは実際に観ないとわからない。それはさておき、日本における戦争映画は長い歴史のなかで醸成されていった。本書は大東亜戦争後の戦争映画をもとにした、日本における戦争映画の歴史を紐解いている。

第1部「戦後の戦争映画」

戦後間もない時は、大東亜戦争に敗戦したことが色濃くあり、敗戦であること、そして戦争そのものの残酷さを描いた作品が多く見られた。もっとも残酷に描くことにより、戦争への反抗と、戦争の悲惨さを描くと行った風潮が見られた。やがて時代は変わり、「こんな戦争があった」というある意味「娯楽」という意味合いでの戦争映画も見られ、アウトローの側面を持つ、あるいはアクションの側面を持つなど、さらにはシリーズ化して、一粒で二度美味しいようにさせるといった映画も出てくるようになった。

第2部「岡本喜八の戦争映画」

岡本喜八は昭和30年代頃から平成にかけて活躍した映画監督であり、多くの作品を残した。もちろん戦争映画も技巧派監督として知られる岡本ならではの表現が所々で出てきている。それだけでなく、岡本自身は戦争批判を行っており、批判的な表現を映画に散りばめていたという。

余談であるが、近日「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開される。その映画の監督である庵野秀明は岡本喜八作品のファンで知られている。

第3部「戦争映画の現在地」

2000年代でも戦争を題材とした映画は数多くあるが、その中でも2016年11月に公開したアニメ映画「この世界の片隅に」を重点的に取り上げつつ、本映画の監督である片渕須直との対談も収録している。

私自身は映画自体はあまり見ず、戦争映画もあまり観ない。観た映画も数えるほどしかないが、観たそれぞれの作品も印象的なセリフや表現が存在した。記憶に残っているかは定かではないのだが。私事はさておき、戦争映画も時代と共に変わってきているのだが、メッセージ自体は変わらない。そう、戦争の悲惨さを伝えるところにある。