たそがれてゆく子さん

人は誰しも老いて、やがて死ぬ。そんな当たり前なことなのに、なかなか受け入れない、あるいは受け入れたくない人も少なからずおり、かくいう私も時折そのような感情に陥ることがある。

人として老い、そして生きていく中での「別れ」をどのようにして接していくか、生きている人それぞれに課せられた課題なのかもしれない。もっともその課題には正解がなく、なおかつ追い求めながら老いていく姿がどうしても目に浮かぶ。

ただ「一人」その問いを探し回る人もいれば、家族やペットなどをつれて探し回る人もいる。新しいことをやるにしても、特に身体の衰えで言うことが聞かなくなってしまう。本書は還暦を超えた詩人が、夫を看取り、そして専業詩人としてどのように生きてきたかについての足跡を綴っている。ありのままの姿が綴られているため、老いや別れといった感情がこれでもかと言うほどに伝わってきた。