情報銀行のすべて

情報は今となってはインターネットの普及によって濁流のごとく流れている。もっとも情報の中身は玉石混交であり、それをいかにして取捨選択を行っていくかが私たちの課題である。

「情報」と聞くとそうイメージしてしまうのだが、本書における「情報」はパーソナルデータ、つまりは「個人情報」を含めたその人に関する情報そのものを表している。しかもその情報に関して「情報銀行」なるものも出てきているという。情報銀行とパーソナルデータ、その2つの要素は漏洩しているのではないかという恐怖感を持つ一方で、商売を行っている方々にとってはマーケティングを行っていく上で必要な情報になってくる。2つの要素はいかにして現在のビジネスで使われていくのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第1章「情報銀行とは何か」

最近では「ビッグデータ」なるものも出てきており、企業によっては活用しているのだが、それは個人情報をマスキングし、動向などの情報をデータとしており、マーケティング戦略の参考にして使われるものである。

それだけでない。最近では個人情報保護法も改正され、ビッグデータを含めた情報を企業が囲い込みを行い、マーケティングのツールとして使っていくようにまでなったという。

第2章「パーソナルデータ流通・活用をめぐる国内動向」

実は個人情報をはじめとした、パーソナルデータは国内外問わずに、マーケティングや情報提供として用いられている。中には流通として扱われているケースもある。本章では銀行、中央省庁などを含めた情報の流通における動向を取り上げている。

第3章「パーソナルデータ流通・活用をめぐる海外動向」

海外ではさらに進めて行われているのが、ボタン一つでデータ取得や閲覧を行う事ができる動き、さらにはグループ会社やプラットフォームにおいての管理や共有などの動きもあるという。

第4章「パーソナルデータの未来像」

実際にパーソナルデータはどのように流通しているのかといった議論が中心となったのだが、本章ではむしろデータそのものの「利用」を通していかに私たちの生活が改善していくのか、その青写真を取り上げている。

第5章「情報銀行ビジネスの登場」

そもそも情報銀行自体はビジネスともなり得る。そのビジネスは顧客の要望や志向などが多様化して行く中でオーダーメイドとも呼ばれるサービスを受けると言ったものもある。その情報の蓄積自体はそれぞれの事業者にて行ってきたのだが、それを一元化するといった試みもある。しかしながら課題は多く、双方にメリットを持たせられるか、もしくはセキュリティの面で担保できるのかといったものが存在する。

情報銀行と聞くとネガティブな印象があり、壁がどうしてもある。それだけでなく、個人情報を提供することに抵抗感を覚える人であれば忌避したいイメージもあるのも無理もない。情報銀行は、マーケティングやこれからのビジネスで必要なモノになっていくのかもしれないのだが、ネガティブな側面をいかにして払拭していくか、そこにかかっている。