スポーツを通じた平和と結束

南スーダンは2011年にスーダン共和国から独立した国であるが、今もなお内戦が行われている。その中で南スーダンへの国際貢献としてオリンピック参加支援が行われている。特に現在行われるかどうか不明だが、今年行われるオリンピック参加の支援として群馬県前橋市にて南スーダン代表選手団を受け入れて、長期事前キャンプを行われている。

本書はそれとは別に「国民結束の日」の開催と、過去のオリンピック参加の経緯を取り上げている。

第1章「南スーダンの概要と紛争の歴史」

第二次世界大戦後間もない時からスーダンにおいて紛争が繰り返された。スーダン共和国として独立した時にも民族や地域の対立が激しくあり、自治権を求めた紛争であった。やがて2010年には南部の住民たちが、住民投票を行い、2011年に独立して創られた経緯がある。しかし独立後からもずっと南北スーダン紛争やクーデター、内戦が繰り返された。

第2章「なぜ、紛争は繰り返されるのか」

第1章でも言及したのだが、民族間、さらには遊牧民たちとの対立によるものが多い。また南スーダン内でも、国民と政府、さらには反政府組織といったものがあり、その対立も根深くあり、紛争が度々行われている。政府自体も未だに「暫定政府」であり、いつ崩壊するのかもわからない状況にある。

第3章「なぜ、南スーダンで「全国スポーツ大会(『国民結束の日』)」支援なのか」

「国民結束の日」はスポーツにおける祭典を表している。それはスポーツ大会を行うことにより、社会的・政治的・国家的な意味合いとしての祭典とすべく、インフラ・放送をはじめとした整備支援を行ってきた足跡を取り上げている。

第4章「着眼点の抗争と『国民結束の日』に向けた準備」

紛争の絶えない地域であるだけに、民族同士が支え合い、開催するといった着眼点があったのだが、対立などが起こり、関係各所の理解促進に追われることもあったという。

第5章「独立後初の『国民結束の日』の開催」

紆余曲折を経て、2016年の1月に「第1回国民結束の日」が行われた。その開会直前でもハプニングはあったものの無事に行われ、国民の結束を垣間見ることができた。その後リオデジャネイロ・オリンピックへの参加派遣も同じように支援を行おうとしていた。

第6章「邦人を含むJICA関係者の国外退避とリオデジャネイロ・オリンピック」

しかし2016年の7月に大規模な紛争が起こり、国外退避を余儀なくされている。退避をしても、南スーダン代表の選手たちのため、そして何よりも南スーダンのためにオリンピック参加支援を行ってきた。

第7章「初めての『国民結束の日』とリオデジャネイロ・オリンピック参加はなにをもたらしたのか?」

国民結束の日の開催と、リオデジャネイロ・オリンピックの参加支援を通して、南スーダンに対してどのような貢献を行ってきたのか、南スーダン、そしてJICAに対して何をもたらしたのか、そのことについて取り上げている。

本書は2016年の「国民結束の日」と「リオデジャネイロ・オリンピック参加」を取り上げているのだが、支援は終わらない。来る東京オリンピックに向けた支援は現在も行われている。今も紛争や内戦に苦しむ南スーダンの代表選手たちの活躍されることを祈念するほかない。