労働を始め、経済活動を行っていく上で、どのように活動を行っていくかの対立は今も昔も存在する。もっとも競争をして経済成長をすべきか、逆に連帯を行って成長すべきか、といったものがある。
その経済成長のなかで出てくるなかでの不平等、それを正すために労働組合や協同組合といったものが存在する。その組合の歴史はどのような歴史を辿り、なおかつこれからどうなっていくのか、そのことについて取り上げている。
第Ⅰ部「労働運動と労働者自主福祉運動の歴史を紡ぐ」
労働組合や協同組合などの組合的な組織があったのは、欧州では産業革命が会ったときのこととされている。日本はと言うと、欧州のような労働組合の概念が出てきたのは、明治時代に入ってからの事であるが、そもそもの組織ができたのは江戸時代の時とされている。それは石見銀山の銀の採掘を行う鉱夫たちが、徒党を組み共済制度の概念がつくられたことが始まりなのだという。その時は日本独自の組合としての組織だったのだが、それが、欧州の概念を組み入れながら、概念を醸成していったのかを取り上げている。
第Ⅱ部「労働者自主福祉の形成と展開」
本章では江戸時代における労働組合としての概念の歴史を紐解くと共に、法的観点から組合の組織から労働運動が歴史において、どのようにして行われてきたのかを取り上げている。
第Ⅲ部「労働運動と労働者自主福祉運動の未来に向かって」
協同組合の概念は2012年にある節目を迎えた。それは国連が「国際協同組合年」と定めた年である。新自由主義が広がり、金融経済が実体経済とかけ離れている現状を憂い定めたとされている。国際的に共同組合を定めつつ、公益性を高めるためにどのような課題があり、なおかつ解決に導いていく必要があるのかを紐解いている。
そもそも資本主義は経済的な「競争」によって成り立っている。ただその経済的な競争における成長とするならば、その成長は働く人々にも享受できるのだが、実際はそうではなく、株式市場における相場の上下によって経済が影響を及ぶ。とはいえど、労働者に享受されるかというとそうではなくなってきており、「実感なき好景気」が出てくる。それを解消すべく、小さな団体もあれば、国連のような世界的規模の団体でも動いている。連帯や協同の概念は経済を変えていくかどうかは定かではないのだが、いつかそれが叶う社会が来ることを著者は目指している。
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