「童話」と言うと、非常にわかりやすく、子供でも読みやすいようにつくられ、なおかつためになるものがほとんどである。
しかしながら、本書はSFにしたものは良い。それどころか展開そのものをエキセントリックなものになっているため、「新手の短編集」といった扱いにした方が良いかも知れない。
ちなみに本書は「シンデレラ(灰被り姫)」「竹取物語」「白雪姫」「さるかに合戦」「おむすびころりん」「アリとキリギリス」を近未来(?)にデフォルメしている。さしずめとあるゲームの冒頭で語られる「むかしむかし、とおいみらいに…」といった表現を小説にしたような気がしてならない。
特に印象的だったのが「さるかに合戦」のSF化である。とある公安9課に怒られないかどうか心配であるが。それはさておき、SFと童話を合わせると、ある意味「ナンセンス」という方式が成り立つ。それを証明付けた一冊とも言える。
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三方 行成 早川書房 2020年11月05日頃