生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

本書のタイトルを見ると、一見びっくりしてしまうのだが、そもそも動物が生きて行くに当たり、脳や細胞などの信号を送ると言った所がある意味デジタルな部分がある。そう考えると本書のタイトルはまさにその通りとも言える。「その通り」という部分は先述の通りであるのだが、本書はそこからさらに細胞の運動などをもとに深掘りを行っている。

第1章「ゲノム―三八億年前に誕生した驚異のデジタル生命分子」

遺伝子情報そのものを表す「ゲノム」は生物が生まれた38億年も前から誕生している。その遺伝子にまつわるゲノムの情報はあるコンピュータにおける「情報」にもなる。その遺伝にまつわる情報伝達として「セントラルドグマ」があるのだが、本章はそれが中心となる。ちなみに冒頭にて新世紀エヴァンゲリオンに出てくる同名の場所も引き合いに出している。

第2章「RNAのすべて(トランスクリプトーム)―タンパク質にならない核酸分子のミステリー」

「RNA」は「リボ核酸」のことを表し、「トランスクリプトーム」は

ゲノムから転写されたRNAの全て。ある生物個体のゲノムは基本的に同一であるのに対し、細胞の種類や環境によって異なる「広辞苑 第七版」より

とある。そもそもRNAとはどのような組織で成り立っているのかを取り上げると同時に、RNAそのものがどのように解析されていくのか、コンピュータシステムに当てはめて取り上げている。

第3章「タンパクのすべて(プロテオーム)―組成を変えずに性質を変える魔法のツール」

私たちの生活で欠かせないタンパク質だが、タンパク質をどのようにして受け入れ、どのようにして細胞へと伝わっていくか、そしてタンパク質そのものの機能・構造とは何かを取り上げている。

第4章「代謝物のすべて(メタボローム)―見逃されていた重要因子」

タンパク質や糖質、脂質など様々なものを取り入れて、分解や合成などを連続して、代謝を行っていく。その代謝で生まれ出たものとして「代謝物」がある。その「代謝物」は老化にも大きく関わっており、人体への影響をどう及ぼすのかを取り上げている。

第5章「マルチオミックス―立ちはだかるゲノムの暗黒大陸」

マルチオミックスはゲノム階層ごとに構成している要素を表しており、ゲノムの処理においてどのような影響を与えているのか、またどのように解析を行っているのかを取り上げている。

私たち人間をはじめとした動物をはじめ「生物」そのものは多くのゲノムから構成されて、システムにおける複雑な情報処理を行っている。生命の信号のやりとりそのものもデジタルのそれと同じようなことが行われていることが本書にてよくわかる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました