時代劇入門

皆さんは「時代劇」と聞くとどう連想するか。古くさい、年寄りの見るものといった声を聞くのだが、時代劇自体は戦後、テレビにて出てきた中のエンターテインメントの一つとして楽しむことできる要素としても親しまれている。

しかしながら時代劇は今も昔もあり、親しんでいる人も多い。その時代劇はどのように接したら良いか、そしてどのような歴史を歩み、スターを生み出したのか、そのことについて取り上げたのが本書である。

第一部「時代劇への接し方」

「時代劇なんて…」と思っている方々の多くは「食わず嫌い」になっている人も少なくない。もっとも「接し方」と言ったものも実際はなく、まずは見てみろということにある。実際に観てみると、ワンパターンかも知れないのだが、そのワンパターンの中にも色々な変化や物語があり、形成付けられている。これは時代劇に限らず、ドラマ・アニメなどでも受け継がれている。

また時代劇は昔の作品という意味合いもあるのだが、少しパラレルなものまであり、江戸時代や戦国時代なのに、といったタッチ(下記の通り偶然?含む)もある。

第二部「時代劇の歩み」

「時代劇」と「歴史劇」という2つの類いがある。分類すべきだという主張もあるのだが、実際には「劇」自体が、小説と同じく時には事実を織り交ぜたフィクション作品であることがほとんどである。中には全て創作で行っていくようなものも存在するほどにある。

そして本章で時代劇そのものの歴史にも言及している。明治時代に「映画」という概念ができはじめてからずっと続いてきた。戦前から戦後にかけ、活躍した時代劇のスター(「スタア」とも書く)の方々の姿・作品を取り上げている。また時代劇の舞台も技術の進化と共に映画からテレビへと移った所も表されている。

第三部「とりあえず知っておきたい基礎知識」

時代劇における主人公、あるいはヒーロー像は色々と存在する。将軍もあれば、一武士、さらにはアウトローな存在から盗賊、そして清水次郎長や国定忠治のような侠客などもいる。多くは男性をヒーローに描いているのだが、女性が主人公になっている作品もいくつか存在する。また映画・ドラマをつくっていく上での監督や脚本、原作者にはどのような人がいるのかも紹介している。

第四部「もう少しだけ掘り下げておきたい重要なテーマ」

時代劇において重要なモノとして、年末によく放送や上映される「忠臣蔵」、外国人から見る日本人像の一つとしても名高い「忍者」、そして毎年放送されるNHKの大河ドラマといった3つの要素を掘り下げている。

第五部「チャンバラの愉しみ」

よく時代劇の中で出てくるものとしてチャンバラを想像する。そのチャンバラ劇の中で特に際立つのが「殺陣(たて)」である。時代劇俳優のベテランとなると、敵の位置でどのように殺陣を見せるかをすぐに察知し、披露するといった芸当も行う事ができるという。この殺陣自体があたかもプロレスの如く楽しむことができるという魅力があるという。またなぜかガンダムと殺陣との関連も対談にて言及している。

読んでみると今あるドラマ・マンガ・アニメでも時代劇の流れを汲んでいるようなものも少なくない。もっとも時代劇もまた歌舞伎などの伝統芸能から受け継がれ、今もなお親しまれている。かつて鬼平犯科帳の完結の際の記者会見にて二代目中村吉右衛門が「時代劇というものはなくならないんじゃないかと僕は思う」と発言したように、まだまだ愛する人がいる限り、時代劇はなくならない。

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