人の「認知」は不思議なものがあり、注意・思考・決定などに関して様々な「バイアス(負荷)」があるのだという。そのバイアスはどこからきており、認知に対してどのような影響を与えるのか、本書はそのことについて取り上げている。
第1章「注意と記憶のバイアス:チェンジ・ブラインドネスと虚偽の記憶」
「注意」にしても「記憶」にしても、特に五感で感じ取られるものが多くある。しかし錯覚など、五感で誤った認識を持ってしまうようなことがある。本章ではそこで生まれる「虚偽」についてを取り上げている。
第2章「リスク認知に潜むバイアス:利用可能性ヒューリスティック」
「リスク」はどこにでもある。そのリスクをいかにして認識し、受け入れたり、ヘッジ(分散)したり動くのか、そのことについて取り上げている。
第3章「概念に潜むバイアス:代表性ヒューリスティック」
説明などを行う際に概要はもちろんのこと「事例」も引き合いにして出してくることがある。特に「事例」となると、実際にあったものもあれば、容易に想像が続くような引き合いなどを出していくことによって、理解は早まるものの、逆に誤った認識をされるリスクも存在し、それがなかなか修正できないと言うのがある。
第4章「思考に潜むバイアス:確証バイアス」
よくビジネス書において「思考術」なるものも数多く存在する。思考術自体としてよくあるのが「論理的思考」であるが、その思考にも「バイアス」という罠が存在する。
第5章「自己決定というバイアス」
決定という要因は思考や意図などもあるのだが、感情を含めた「欲求」によって決められることも少なくない。その決定に対して、脳で決めていくのだが、そもそも身体も含めなぜ「私」は脳の奴隷になっているのかについて指摘している。
第6章「言語がもたらすバイアス」
言葉は相手の情報を受けたり、伝えたりするツールである。しかしその言語によって、思考や決定などのことについてバイアスを与える要素にもなる。なぜバイアスとなるのかを分析している。
第7章「創造(について)のバイアス」
よく会社やビジネスなどで「イノベーション」であるが、他にも「クリエイティブ」と言ったものもある。特に本章ではこの「クリエイティブ」に関しての「制約」がどのようなものであるかについて考察を行っている。
第8章「共同に関わるバイアス」
人が数人いると共同で活動や思考を行うと言った事があるのだが、人を介すると、集合知といった1人では考えられないような知を得ることができるメリットがある反面、同調と呼ばれるリスクも存在する。
第9章「「認知バイアス」というバイアス」
認知を研究する中で思考や実験などを繰り返して明らかになると言ったものもあるのだが、実はそこには「バイアス」という罠が存在する。そのため「直感」を信じる方が良いことを取り上げている。
本書は認知科学に関しての一冊であるのだが、認知に関してのバイアスはどちらかというと応用編に近い。そのため認知科学をある程度学んでいないとなかなかついて行けない一冊である。とはいえ認知には様々な「バイアス」でもって成り立っていると言うことがよくわかる一冊である。
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