地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート

「議員」と言ってもひとえに色々とある。よくメディアで目にする人物としては国を支える国会議員がいる。しかしながら国会議員のみならず、都道府県・市町村の議会議員もいる。よくこれらの議員たちは「地方議員」も数多くいる。そもそも地方議員の役割はどのようなものか、そしてその中には今話題となっているスーパークレイジー君もビックリのトンデモ議員もおり、なおかつ議会そのものの現実とは何かについて、3万2千人のアンケートの中で語られる地方議員の「現実」を追っている。

第1章「地方議会の役割は?」

法律は国会で決めているから地方議会は要らないという議論もあるのだが、それは大間違いで、地方独特の「条例」はもちろんのこと、街づくりなどにおける地方の行政のあり方を変えたり、つくったりする役割を担うのが地方議会である。

第2章「なれ合い議会」

国会議員においても同じ党内で派閥やグループのなれ合いがあるように地方議会にも同じようなものが存在する。もっとも首長の言いなりになってしまい、本当に議論を行っているのか、チェック機能を果たしているのかの不満を主張する人々もいる。その一方で首長と議会の対立により、議会自体が混迷を極める動きも見られている。

第3章「トンデモ議員列伝」

地方議員の立場について「おいしい」と答える人がほとんどである。もちろん税金でもって税金が成り立っているため、その恩恵も「おいしい」と言う考えになっているのかも知れない。しかし議員の中には堂々とそれを発言する人はもちろんのこと、犯罪に手を出すなど不祥事を起こしてしまい、辞職に追い込まれる事例も少なくない。

第4章「地方議会 女性議員は今」

地方議員の中にも女性議員は少なくないが、女性議員の苦悩が本章にてよくわかる。特に女性議員が受けている「ハラスメント」があり、中にはメディアでは全く取り上げて折らず、本書のアンケートでようやく明るみに出たものもある。

第5章「なり手不足 その背景は?」

地方議員の世界は狭い世界と言える。もっと言うと地方議員は定数があるのだが、定数割れを起こしている議会もあり、立候補さえ行うと無投票当選もある。また後継者不足もあるため、議員候補集めに苦慮する自治体も少なくない。

第6章「「ドン」が語る東京」

地方には必ずといっても良いほど「ドン(首領)」と呼ばれる、首長よりも発言力が大きく、なおかつ権力面で暗躍する人物もいる。特に数年前に話題となった都議会の「ドン」「であった内田茂もまたその一人である。本章ではその内田とのインタビューを取り上げている。

第7章「バッジのために何をしている?」

議員にとって一大イベントは「選挙」である。第5章でも述べたように最近では「無投票当選」で終わり、選挙活動すら行われずに、議会政治に入るといった人も出てきている。とはいえ、議員になるきっかけはもちろんのこと、選挙活動中に何を行ってきたかなど人それぞれであるが、そこはアンケートである。アンケート結果をもとにして、どのような傾向にあるか分析を行っている。

第8章「地方議会 議員の未来は」

これから地方議会はどのようになっていくのか、その未来像を取り上げている。ただ議員としても将来について不安が無いわけではない。不安に対し、どのように立ち向かっていったかなどを網羅している。

たぶんNHKでしかできないほど大規模なアンケートだったのかも知れない。しかしそのアンケートの中でわかってくること、また今までのメディアの中でわからなかったことも少なからずあり、それが明らかになった部分もある。地方議員のある意味の「リアル」が本書にある。