地方大学再生 生き残る大学の条件

「管理人紹介」のページでも紹介しているように、私は小樽商科大学の出身である。国公立であるのだが、いわゆる「地方大学」の出身である。私事はさておき、地方大学を含め、私学なども含め全国津々浦々に大学が点在するのだが、中には苦境に陥り、閉校する大学も少なくない。

またかつては大学に入学することでさえ難しかったにもかかわらず、今は「大学全入時代」となっており、選り好みさえしなければ誰でも入ることができるほどにまでなっている。そのため大学によっては定員割れをしている所も少なくない。本書ではその大学、それも「地方大学」の実態とこれからの改革についてを取り上げている。

第一章「新卒定期採用 戦前から戦後へ、そして高度経済成長へ」

毎年のように行われる、新卒採用がある。その活動についての2022年卒対象の新卒対象の就職活動が3月1日に解禁された。あくまで広報解禁のみであり、実際の採用活動が始まるのは6月1日になってからのことである。

この就職活動が行われるようになったのは戦後になってからのことであり、高度経済成長とともに、広がりを見せることとなった。その影響かどうかはわからないのだが、学歴に関してもかつては中卒・高卒でも就職できたのが、大卒でないと就職できないところが多くなった。

第二章「偏差値から大学ランキング、就職ランキングまで」

大学受験を行われてきた方であればわかるのだが、大学入試の際のバロメーターとなるのが、模試などの試験における「偏差値」である。その偏差値は本当に信じられるかどうかについては謎である。

また就職活動を行う際に参考となるのが「就職ランキング」と行ったものであり、特にその上位に行くとなると、大企業、もしくはよく知られている企業であることが非常に多い。

第三章「バブル崩壊後に浮かぶ大学・沈む大学」

大学によっても良くなる大学もあれば、沈む大学もあり。また沈む大学の中には閉校に追い込まれた所もあれば、特に短大なのだが、短大が四年制大学に改組する事例もあった。

第四章「地方の大学─―国公立大学」

国公立は国や自治体をはじめとした公共団体に守られているかというと、決してそうではない。現場は疲弊しており、なおかつ大学再編も実際に行われているところも出てきているという。

第五章「地方圏の私大」

私大は、「再編」に関する傾向が国公立よりも強い。特に地方となると、地元の過疎化も一因として挙げられている。しかし中には閉校の危機にさらされながらも、独自の方法で生き残りを賭け、そして這い上がってきた大学もある。

第六章「浮かぶ短期大学」

短大は四年制大学よりもさらなる苦境に立たされており、四年制大学に改組する大学も少なくない。しかしながらわずかであるが、四年制大学と連携したり、参考にしたりして、一躍有名にした短大もある。

第七章「迷走する大学入試改革」

大学入試は今年の1月に新しい「大学入学共通テスト」が初めて行われた。成績状況などについてはこれから検証され始めるのだが、その導入前にもいざこざがあった。そのいざこざがくすぶり、今日でも迷走を続けているという。

第八章「消えた2018年問題」

2018年問題とは、大学に入学するであろう18歳の人口が急速に減少する時期となり、大学の定員割れが多く起こり、大学再編の波が加速するからとのことで名付けられた。現に閉校・廃校した大学も少なくない。

第九章「20年代に何が始まるか」

大学再編ばかりではなく、有名大学の中には「学部再編」として学部を統廃合する動きも見られている。20年代になるとさらに加速するとの見方もある。

地方大学に限らず、少子化に伴い大学全体でも苦境に立たされるところは多くなると行っても過言ではない。しかし生き残るために手をこまねいていることはなく、むしろどのように生き残るかの対策を各大学にて行っており、成功例もあれば、うまくいかず、憂き目に遭う大学も少なくない。これから大学はどうなっていくのか、定かではない。