AV女優の家族

「AVに関わっている」と言うだけで偏見を持たれることが多くある。メディアでも取り上げられるのだが、その頻度はわずかなものである。その一方で、ここ最近ではアイドル視されているような感があるという。そのAV女優たちの現実と信念、そして家族たちはどのような想いなのかを取り上げているのが本書である。

Chapter1「白石茉莉奈」

白石茉莉奈は既に結婚しており、家庭も持っている。しかしその夫に隠して仕事を行っている。子どもの頃から芸能活動をスタートし、活躍をした。そして結婚して、子どもをつくったが、仕事への渇望からAV女優となった。もちろん家族の変化もあったが、自ら持っている仕事への渇望が、AV女優としての「プロ意識」へと変わっていった。

Chapter2「優月心菜」

優月心菜は現在でこそAV女優をデビューしたばかりであるが、AV女優だけでなく、マルチに活躍をすることを目指しているという。

その優月心菜の人生は「両極端」と言う言葉が相応しかった。金持ちと貧乏、そして家族の複雑な変化があった。その環境の変化だと心身共にすり切れるような状態なのだが、インタビューを行っている写真を見ると、そんな人生を辿っていったことをみじんも感じさせなかった。

Chapter3「板垣あずさ」

Chapter1で取り上げた白石茉莉奈と同じく、子どもを持っている家族であるが、シングルマザーである。また板垣あずさはグラビアアイドルとして芸能活動を行ったのだが、一度は引退し、スカウトを経てAV女優となった。AVへの偏見は自らはなく、家族にもほとんどなかったという。それ以上にシングルマザーで子どもを産むと言うところが家族としての衝撃だったという。

Chapter4「江上しほ」

江上しほは短い間に200本ほどの作品に参加したほどのAV女優である。現在はAV女優から離れているのだが、芸能界に入るため、精力的に活動している。元々AV女優になったきっかけもあれば、家族の猛反対もあった。しかし奔放な性格と邁進する姿勢で数多くの作品を生み出し、そしてその先への活力ともなっている。

Chapter5「出てこい中平くん2号」

本書はAV女優が中心としているのだが、本章だけはAV男優を挙げている。AV男優もまた元々は偏見の多い職業であったのだが、加藤鷹やチョコボール向井らがAVを越えた活躍を見せたことにより、知名度を引き上げた。

そして本章に出てくる出てこい中平くん2号である。AV男優になったきっかけはあるオーディションだったが、そこで優勝し、デビューした。その後家族にも明かしたが、温かく見守られ、応援されながらも活躍している姿があった。

Chapter6「当真ゆき・つむぎ」

本章に登場するのは実の姉妹であるのだが、AV女優となったのは姉の当真ゆきである。当真ゆきは高校の頃に結婚したのだが、わずかの間で出産・離婚。そしてAV女優への道を進んだ。しかし家族の抵抗があったのかと言うと、それ以上の苦労があった。AV女優に進むきっかけの一つに「家族」という事情もあった。また娘の取材も行っており、母娘と家族の事情が赤裸々に語られている。

私自身AVをあまり見ないためピンと来ない。ただテレビを見てみると「元」とつくような人々もおり、中には芸能界で活躍している人も少なくない。それだけ昨今ではAVに対する偏見は少なくなってきているのだが、今だに残っているのもまた事実である。そのAVに携わる当事者の側にも偏見が多いように見えたのだが、本書を見るとそれは「人それぞれ」であるとも言える。

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