何が食べたいの、日本人? 平成・令和食ブーム総ざらい

食に関する進化は時代と共に進んでおり、特に食に関しての「ブーム」も度々起こる。ここ最近では去ったのだが、「タピオカ大ブーム」が起こり、至る所でタピオカの専門店ができた事は記憶に新しく、またさらに最近ではだんだんと閉店していると言うのもある。

色々な時代で食に関するブームが出てくることがあるのだが、本書は平成・令和といった32年の歴史のなかで、どのようなブームがあり、時代を築いていったのかについてを総ざらいしている。

第1章「情報化が進んだ30年」

食に関する情報は、雑誌やテレビなどが主流だった時代から、インターネットで簡単に手に入るようにまでなった。特に平成初期には雑誌での男女の生活仕様の変化、さらには「料理の鉄人」、クックパッドの誕生など技術やメディアの変化によって、食のブームやあり方も変わっていった。

第2章「グルメが定着していく時代」

平成初期に入ってくると、知っている方もいるかもしれないが「デパ地下ブーム」といったものもあった。現在もなおデパ地下にはグルメとも言えるような惣菜やスイーツが立ち並んでおり、ワイドショーでも時折話題となる。他にも生春巻きや韓国料理、そして歌でも話題となった「チキンライス」やB級グルメもある。そして新型コロナウイルスによるSTAY HOMEでリバイバルブームとなりつつある「唐揚げ」も取り上げている。

第3章「スイーツ・パン・ドリンク」

スイーツもまた例外なくブームと呼ばれるものがあった。冒頭でも取り上げた「タピオカ」は昨年・一昨年ブームになったのだが、過去にも1990年代後半、2000年代後半にも1度ブームになっている。そのことを考えると今回のブームは「第三次」である。

タピオカのみならず色々なスイーツがブームとなっているのだが、平成に入った直後から「ティラミス」がブームとなり、第二次タピオカブームとほぼ同じ時期にはマカロンがブームになった。またここ最近では一斤が1000円以上にもなる「高級食パン」も瞬時に売り切れるなどのものもある。

第4章「時代を映す食文化」

「食」にもまた時代がある。食に関するブームもその世相に反映しているのだが、ネガティブな面もまたある。1993年における記録的な冷夏に伴う「米騒動」もその一つである。さらにはエッセイ作品では、後にNHKにてアニメ化された「英国一家、日本を食べる」もある。さらには政治思想の如く「フード右翼・フード左翼」の存在も取り上げている。政治・時事・エッセイと考えると、食文化は「時代」を映していると言っても過言ではない。

第5章「家庭料理の世界」

料理研究家がスポットライトを浴びるのも今となってはよくある話である。とりわけ私の出身地である北海道では料理研究家の星澤幸子氏が長年「どさんこワイド」にてどさんこワイドの1コーナーである「奥様ここでもう一品」が長年放送されたことによりギネス記録にまでなった。しかもその番組での活躍からか星澤氏の人気は全国区にまでなったほどである。

星澤氏に限らず、栗原はるみ氏や平野レミ氏など料理番組の枠では収まらないほどの活躍を見せた方々もいるが、実力も裏打ちされており、考案している料理もあれば、監修した調理器具も出てきて一躍ブームにまでなった。

もちろん「食」のブームというと、料理やスイーツなどを連想するのだが、しかしながら「食」を絡めると、今の世相を映し出していると言っても過言ではなかった。令和になって3年、これからの「食」はどのようになるのか、その期待感も膨らませることにもなった一冊と言えよう。