人体のことについて、もしくはアートについて、多くの学問から考察を行うと行った本は少なからずある。現在もアニメにて放送されているマンガ「進撃の巨人」を解剖学の観点から紐解いたものもあれば、アニメや特撮で出てくる怪獣を生物学の観点から考察を行っているものまである。
では本書はどうか、本書は神経内科の観点から人類の進化、さらには「ヒト」そのものの絵画をどのように見ているのかについて取り上げている。
第一章「直立二足歩行革命」
元々ヒトの起源は類人猿だったのだが、その類人猿は四足歩行だった。それが進化を通して二足歩行へと変わっていったのだが、その進化の課程の中で体重と神経のあり方はどうなっていったのかを取り上げている。
第二章「ホモ ロクエンスの誕生」
「ホモロクエンス」とは、
話す人。ことばをもつ点を人間の本質とする人間像。「広辞苑 第七版」より
と表す。言葉を話すための条件としては口からどのように信号を発するかによって変わってくる。もちろん動物の鳴き声もまた一つの意思表示であり、特に虫に至ってはフェロモンや羽音などの動きによって意思表示をすることもある。
第三章「ホモ ピクトルと美の誕生」
そもそも「ピクトル」はラテン語で「画家」を意味している。そのため本書の根幹である「アート」を以下にして描いてきたのかと言うところに入ってくる。世界的な歴史にも入ってくる名画もあれば、意思表示や心象風景を描くと言ったものまであり、特に子どもの映し出した絵はどのような表現をなしていたかを取り上げている。
第四章「ホモ ピクトル ムジカーリス」
絵となったら今度は「音楽」である。言うまでもなく「ムジカーリス」は「音楽」を表している。楽器をいかにして作り、どのように音を出し、音楽を作っていったのか、そのあらましを取り上げている。
第五章「アートの役割」
アートの役割は幅広い。歴史的な象徴として描かれたことはもちろん、人類の進化がどうであったか、史跡や化石などのものがあるのだが、それらをもとにして再現のさまを描くといったことも挙げられる。
第六章「アートの現在」
アート自体は、表現方法はもちろんのこと、商売道具にもなっている、特に絵画にいたっては、場合には数百万から億といった値段にまで上るものも少なくない。
本書は人類の進化と言うよりも、人類の進化の中で特にアートを行ったのか、そして時代と共にアートはどのような存在になってきたのかが中心となっている。そう言う意味では美術研究者が著するのであれば珍しくはないのだが、神経内科医が研究し、上梓したとなると、ある種の意外性があった。
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