法律はそれぞれの国によって決まり、なおかつ税制も同様に税率の設定は国それぞれである。しかしながら、多国籍企業や、多くの国々で販売やサービスを提供している場合は、それぞれの国に見合った税金を支払いを行う。
しかしグローバル化が進んでいく中で、「課税」に関しての権力は国境を超えてしまうことがしばしばある。それは特にインターネットを中心とした「デジタル」や「ネットワーク」にまつわる勢力のことを指している。本書は「税」のあり方が国境を超える原理とこれからについて取り上げている。
第1章「資本主義とともに変わりゆく税制」
税制のあり方は国・地方特有のものかと思いきや、インターネットやネットビジネスの隆盛によって大きく変わってきた。特に海外にプラットフォームを置いたとき、税金はどうすべきかという議論もあったのだが、その税金自体が資本主義経済そのもののあり方の変化の原動力ともなる。
第2章「グローバル化と国民国家の相克」
「グローバル化」の波は経済においては当たり前にあるが、「税」と言った所はかつてそういった波はなかった。しかしインターネットでビジネスを行う、あるいはコンテンツをつくり、提供するまでになってからは、風向きが変わった。特に「租税闘争」と呼ばれる税制に関しての競争が行われている背景があり、特に日本における「法人税減税」の背景としてこの競争が一つの側面としてある。
第3章「立ちはだかる多国籍企業の壁」
「タックス・ヘイブン」は今も昔もあるのが、特に「パラダイス文書」の存在が大きく取り上げられた。決して光GENJIが何かしたわけではない。節税をするために資産を、税金の安い国(の銀行などに)に移すといったことが行われている。
第4章「デジタル課税の波」
税金や課税を国際化する要因としてはウェブをはじめとした「デジタル」が大きく作用している。そもそも税の決定は国や地域と言ったところがあるが、それを国際的な枠組みの中で決められるかといった所の議論が行われている。
第5章「新たな国際課税ルールの模索」
「デジタル化」「タックス・ヘイブン」といった要素があり、特に後者の防止のため、法人税などの最低税率を策定を国際的に決めるといった報道があった。模索は続いているとは言え、最低税率といった枠組みの議論が行われ、模索は進んでいるとも言える。
第6章「ネットワーク型課税権力の誕生」
国際的な課税の枠組みを作るためには、政治的な「権力」も持つ必要があり、本章では「ネットワーク型課税権力」を提唱している。実際にOECD(経済協力開発機構)にて多国籍企業などの国際的な企業・人物の税制をどうすべきかの策定も行っているが、どのように影響を持たせるのかは未知数である。
第7章「ポスト・コロナの時代のグローバル・タックス」
一昨年末に発生し、昨年から全世界に広まり、現在も変異を続けながら猛威を振るっている新型コロナウイルス。ワクチンの開発・接種が行われているが、終息の目処は立っていない状況にある。もしもコロナが終息した後の世界はどうなるのか、そしてグローバル・タックスのあり方はどうなるのか、その展望を予想している。
税金に関してはもはやグローバル化に対応を行う必要がある。もっとも経済がグローバル化している以上、税金もリンクして議論を行う必要がある。税金となると経済もあるのだが、その反面の「タックス・ヘイブン」と呼ばれる節税、悪く言えば課税逃れを行う動きも否めない。それを避けるために国際的な税制の枠組みを決め、改正を行いながら実行を進めていくことが必要になってくる。
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