マラソンを含めた長距離走や100メートル走などを中心とした短距離走と比べると競歩は陸上競技の中ではマイナーかも知れない。もっとも競技をする姿は早歩きであるため、地味に見えるかも知れない。しかし競歩は思っている以上に過酷な競技であり、タイムを競うばかりではなく、「型(フォーム)」もまた厳しく見られる。型を大きく崩してしまうと警告などのペナルティーが科せられ、最悪失格になってしまうほどである。
日本でも競歩でオリンピックを目指す方々もおり、現に男子では20㎞部門と50㎞部門で各3選手、女子も20㎞部門で2選手が内定している。中には当時現役大学生で内定した選手もいる。
本書の話に移る。本書はそのオリンピックを目指して歩き続ける選手と、天才高校生作家との邂逅を描いている。リオ五輪から東京五輪への道筋の中で出てくる、苦闘と挫折、そして栄光と行った様々な側面が描かれている。また著者自身もランニングクラブで綿密に取材を行ったこともあり、競歩ならではの苦しみと、競技の難しさが事細かに描かれており、競歩とは何かと知らない人であれば、本書の物語を見て知ることも良いだろう。
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