本書は読書紹介の一冊であるのだが、それにしてもかなりの「異色感」がある。何せ本のタイトルからインパクトが強く、出会い系サイトで実際に出会って本を紹介するのだから、紹介している人は「強者」という言葉しか思い浮かばない。では、どのような人と出会い、どういった本を紹介したのか見てみよう。
第1章「東京がこんなにおもしろマッドシティーだったとは」
東京は日本で一番多い所であり、なおかつ人口密度も高い。ここ最近は新型コロナウイルスの影響により、行っていないのだが、かつては年に数回行くことがあった。その時も人の多さに引いてしまったことは今も覚えている。色々な場所があり、中には本章のタイトルにあるような「マッド」な場所も少なくない。
それはさておき、東京に来て、なおかつ怪しい(?)出会い系サイトを使って人と出会って話を聴く。その聴いた話でもって本を紹介して薦めるといった流れなのだが、どういった流れで紹介しているのかも結構興味深い。
第2章「私を育ててくれたヴィレッジヴァンガード、その愛」
ヴィレッジヴァンガードは愛知県名古屋市に本社を置きつつ、店舗は全国展開している。自分の住んでいる神奈川でも、故郷の北海道でも展開しており、私もよく買い物をしているほどである。
そのヴィレッジヴァンガードは本当の意味で「何でも」売っており、書籍もある。その書籍はベストセラーと言うよりも、ヴィレッジヴァンガードに合ったカラーにこだわった本選びをしている印象が強い。本書の主人公もヴィレッジヴァンガードとの出会いによって、様々な興味を示し、育つこととなった。
第3章「出会い系サイトで人生が動き出す」
出会い系サイトを使っている方々に聞いてみたいのだが、出会い系サイトを使っているとどのような人と出会えるのかという質問がある。使っていない人だと、ニュースや様々な評判で聞く話を推察すると、きれいな人かと思ったらその辺にいたオッサンだったと言うような詐欺的なものばかりとイメージしてしまう(もちろん偏見であるが)。
実際に出会い系サイトを使って色々な人と出会うと、本当の意味で「色々」な人と体験談がある。その中で紹介する本のヴァリエーションも広がりを見せていった。
第4章「ここはどこかへ行く途中の人が集まる場所」
本を通して集まる場所は様々である。実は私も10年近く前までは読書会に頻繁に参加していた。カフェやホテルなどで読書会が開催されているところに参加して本を紹介することが多々あった。その後に、カフェで書評を行うといった動きもまたお決まりであった。
本に限らずとも人が集まる場所はいくつもある。待ち合わせ場所にしても、カフェにしても然りである。本章ではその集まる場所でもって本を紹介するといったことが綴られている。
第5章「あなたの助言は床に落ちてるホコリみたい」
もしもアドバイスする立場が本書にある言葉を言われたときはどう思うか。私であれば、失望感が充満してしまう。
それはさておき、悩み相談を行ったり、インタビューを行ったりしてみると、人の話を聴きつつ、どのようにアドバイスするかはそれぞれの考え方による。そのアドバイスについての迷いが記されている。
第6章「私が逆ナンを身につけるまで――――そしてラスボス戦へ」
何というか本章のタイトルを見るとあたかもロールプレイングゲームを連想してしまう。多くの知らない人と出会い、本を薦めていき続けることによって何を身につけたのかを取り上げ、「ラスボス」と呼ばれる人との出会いも綴っている。
第7章「人生初のイベントは祖父の屍を越えて」
自身で初めてイベントを主催することとなったのだが、その矢先に訃報があった。訃報を乗り越え、イベントを行い、成功に至った。
実は本書の著者はヴィレッジヴァンガードに12年ほど勤め、蔦屋書店の店員や本屋の店長を務めるほど、本に携わった人そのものである。しかも一部フィクションはあれど、ほとんどは実話であり、著者自身が本と人との出会いを通じて、どうなったのかを克明に記されている。本と人との学びは「深い」、そのことが痛いほどよくわかる。
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
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