サンライズパブリッシング様より献本御礼。
日本には数百万もの株式会社が存在するのだが、うまく行っている会社もあれば、全くうまく行かず、倒産などの憂き目に遭うところも少なくない。特に新型コロナウイルスの感染拡大により、立ちゆかなくなり、倒産してしまう会社も少なくない。
本書は危機に瀕している会社を再生していくまでの道筋を6つの事例を物語にして表している。
第1章「社長の急死、そして株主もいなくなった―残った社員を救う方法―」
会社の中には社長がほとんど全てを行っていると言うところも少なくない。また取締役も社長1人と言うところもある。その社長が急死し、株主もいなくなり、最大のピンチを迎えた会社を取り上げている。その中ではそもそも「事業再生」とは何かを明かしている。
第2章「温泉の水道が止められる!?―即効性のある施策で会社を生かす―」
一見人気のある場所であるように見えて、実は経営的にガタガタになっていると言うような事例も少なくない。本章では温泉施設の事例(同じ店は第4・6章でも紹介される)である。滞納のリスケなどかなり難しい交渉を行うのだが、最もリスケ自体も計画を持って行う必要があり、なおかつ窮状は従業員たちにも知らせる必要がある。そのことで社員も含めて全員野球の如く再生に向けて動き出す。
第3章「粉飾だらけの決算書―財務が腐らせた会社を、財務が救う―」
経営者は経営を行っていけば良いというものではない。財務的な数字の把握も不可欠である。特に数字が疎いとなると、命取りになることもある。本章ではある英会話スクールの運営会社を取り上げている。
第4章「経営者は踏んだり蹴ったり―税務特例の効力と通達が示すもの―」
第2章で取り上げた温泉施設の事例の続きである。滞納は水道や電話だけでなく、税金までも滞納していたと言う。しかもその督促は水道などとは比でなく、税務署から国税局へとなり、より厳しい交渉を求められる。その交渉を経て、再建への道を進み始めた。
第5章「金融機関がいじめ…?―競売で落札された工場を取り戻す!―」
正直言うと、ここまで金融機関が悪辣なことを行うか、と言うほどの章であった。しかしながら、著者自身も行ったことを物語にしているのだから、事実の一つとしてあるのだろう。もっとも私自身も経営者とあった事があるのだが、経営と銀行の話となると、テレビではとても言うことができず、なおかつブログに上げるだけでも抵抗を持ってしまうほど過激なことを行う事もあるのだという。
第6章「黒字化したのに銀行が会社を潰す!?―新会社をつくって危機を回避!―」
第2・4章とかけて再建を果たしてきた温泉旅館が、思わぬ形で倒産の憂き目に遭った。しかも今度は訴訟まで発展するほどにまでなった。その訴訟の一部始終はもちろんのこと、倒産の憂き目からどのように再生をしたかの道筋を取り上げている。
倒産をするのは苦しい。そこには従業員たちを路頭に迷わせると言ったことがあり、なおかつ債務整理などもある。しかし倒産のピンチからの再生も苦しい道であり、かつ想像を絶するような戦いの繰り返しであることがよくわかる一冊である。
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