本書の話に入る前に私事になってしまい申し訳ないが、私の住んでいる鎌倉から電車で走ると大船駅がある。よく買い物に行くところであるが、その駅から通った道の中に美大の予備校がある。よく夜に買い物へ行くため、ちょうどその時間帯で授業が行われている。美大に通うために必死にデッサンをはじめとした作品をつくり上げていく姿が印象的である。
本書の話に絡んでいくのだが、美大に入り、芸術家の道に行く方、あるいは仕事を通してクリエイティブな道を歩む方それぞれである。特に美術作品を生み出す方々の道はかなり厳しくなっていることは間違いない。
画家をはじめとした芸術家はなかなか稼ぐにしても、パトロンやスポンサーなどの存在が必要になってくる。そのような芸術家を志す学生たちにある事件が起こる。才能と芸術、そしてその後の人生に葛藤する美大生たちが残酷な「現実」に翻弄されながら、芸術化に向けてひたむきに奮闘し続ける姿を映し出した一冊である。
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一色 さゆり 幻冬舎 2020年03月04日頃
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