小説 品川心中

本書は二見書房で出版されたシリーズである「小説 古典落語」の最終巻である。今回取り上げられる演目は「品川心中」、三代目古今亭志ん朝や六代目三遊亭圓生をはじめ「名人」と呼ばれる方々が得意としていた演目である。

どのような噺なのかというと、かつて東京の品川にあった「遊郭」が舞台である。その遊郭にいた「お染」は、元々最上位にいた女郎だったが、年が経つにつれ、「老い」と若手の台頭により、思うように稼げず、後輩からも馬鹿にされる毎日だった。

その世の中が嫌になり、心中することを決断するのだが、なじみ客と道連れにしようとした。客を突き落とし、自分も死のうとしたが死にきれず、のこのこと戻ってきたが、底には突き落としたはずのなじみ客がいた(上)。そしてなじみ客も黙ってはおらず、客の親方も巻き込んだ復讐劇が始まる(下)。

本書の解説にもあったように、現在でも噺家が演じるのだが、上巻の所までで終わることが多い。ただ名人の音源や文献などでは下巻も行う事が度々あり、本書は上下巻両方の物語を描いている。