今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学」

著者の佐藤様より献本御礼。

「経営学」と言うと、経営者のための学問である。もちろん会社経営を行う方々に対し、どのような経営を行うべきかの材料を得て、実践を積み重ねていくこともあるのだが、実際に「経営」は何も会社ばかりではない。NPOにしても、部活にしても、ありとあらゆる「団体」を束ねて、運営することも経営としての一つである。では経営とはいったい何かと、経営を円滑に行うためにはどうしたら良いか、本書は入門書として多くの要素をわかりやすく記している。

第1章「経営学の基本的な考え方を学ぶ「費用対効果」」

そもそも経営学とはいったい何か。リーダーの役割とは何か。本章のタイトルにある費用対効果とは何かを取り上げている。経営学としての根本はもちろんのこと、サービスや商品を販売することから費用と売上などを求める、あるいはリーダーとして部下にどう貢献していくかなどを言及している。

第2章「賢く考え、正しく判断する心理学「意思決定」」

経営者は常に「意思決定」を迫られる。ありとあらゆる情報を受け取りながら決断を行っていくのだから、データだけでなく、心理面でも影響を及ぼす。それらについて理論や定義についていくつも存在する。

第3章「価格のしくみを理解して、売上と利益を増やす「価格戦略」」

お店で売られている商品には必ず「値段」がついている。その値段はどのようにして決められているのか、「利益」を生み出すことが必要だが、どのように生み出すかにも「仕組み」が込められている。

第4章「相乗効果を生み、コストを下げる「多角化戦略」と「経済性」」

経営は特定の一業種だけ行っている所もあれば、ありとあらゆる業種を束ねる多角化を行っている会社もある。「どっちつかずではないか」と思われがちだが、実は「多角化」にこそ戦略がある。本章のタイトルにある「コスト削減」や「相乗効果」がカギとなる。

第5章「ライバルとの戦いを勝ち抜く「競争戦略」」

経営している会社には様々な「業界」がある。その業界の中にはライバルと目される企業も少なくない。そのライバルに対してどのような戦略を立てて勝ち抜くか、そこには「差別化」「集中」といった様相がある。

第6章「みんなで協力して目的を実現する「組織」」

会社となると、1人だけで経営している所もあれば、複数人いるところもある。とはいえ、会社内外を見てみると何人もいるわけだから、それだけでも「組織」は成り立つ。しかし「組織」はやりようによっては、相互作用をもたらすこともあれば、足の引っ張り合いにさえある。そのため「組織」として何が重要なのか、「組織」の中に生まれるバイアスは何かを取り上げている。

第7章「やる気と個性を活かして強いチームをつくる「モチベーション」と「リーダーシップ」」

前章の「組織」を良いものにして行くためには、リーダーの役割、さらにはメンバーの役割それぞれ異なっている。リーダーはメンバーに対して何を行い、メンバーは同モチベーションをコントロールしていくかが中心となる。

第8章「DX時代の組織のカタチを考える「ヒエラルキー」と「ネットワーク」」

ここ最近のビジネスでは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が言われてきている。もちろんこれは消費者に対してはもちろんのこと、企業間や企業内に関しても推進していく風潮もある。本章ではDX化を基軸にして企業経営の歴史の変化も取り上げている。

第9章「地位をめぐる競争で、自分の価値を高める「人材マネジメント」」

よく会社などでは従業員のことを「人材」と表しているのだが、従業員は貴重な財産であることを踏まえて「人財」と定義する企業も少なくない。しかしここ最近ではAI技術の進歩により、かつては人が行ってきたことをAIが代替して行うような傾向も出てきている。本章ではそのような時代の中で人材はどう変わるのかを取り上げている。

第10章「豊かな人生を切り拓く「お金」と「時間」と「知識」のマネジメント」

ビジネスを行っていく上で、「時間」「知識」「お金」は大切な要素としてあげられる。お金については「投資」、時間では「優先順位」、そして知識では「勉強」というように仕事などの面で役立つ、あるいは身につけるべき要素を取り上げている。

第11章「少子高齢化に向き合い、生産性を高める「働き方改革」」

今までの日本はどのように変わり、少子高齢社会となって久しい現在、さらにこれからはどう変わっていくのか、展望と読者に向けての提言を取り上げている。

本書は経営学の教科書であるのだが、経営者ばかりでなく、管理職や一般社員の方々にとっても参考になる要素がたくさんある。それは経営のノウハウはもちろんのこと、仕事に関しての考え方も学び、実践できるきっかけを作ることができるためである。