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2021年6月

小説 品川心中

本書は二見書房で出版されたシリーズである「小説 古典落語」の最終巻である。今回取り上げられる演目は「品川心中」、三代目古今亭志ん朝や六代目三遊亭圓生をはじめ「名人」と呼ばれる方々が得意としていた演目である。 どのような噺なのかというと、かつて東京の品川にあった「遊郭」が舞台である。その遊郭にいた「お染」は、元々最上位にいた女郎だったが、年が経つにつれ、「老い」と若手の台頭により、思うように稼げず、 […]

原発事故 自治体からの証言

今から10年前に起こった東日本大震災、そしてそこで起こった福島第一原子力発電所事故がある。中には「事件」として取り上げられるメディアも少なくない。実際に現在進行形で起こっており、地域によっては「帰宅困難地域」に指定され、帰宅することもままならない状態でいる所もある。 原発事故が起こったこと、そして各自治体がどのような対応を行ったのか、各自治体の職員らの証言をもとに綴られたのが本書である。 第一章「 […]

いつかの岸辺に跳ねていく

幼なじみの2人がそれぞれの道を歩んでいった。その道は交わるかどうかはわからなかったが時が経つにつれ、2人それぞれの物語が1つへと変わっていくようになった。しかし1つになった時、幼なじみの女性は既に病床にあった。 幼なじみと言うことなので、気心は知れていた。しかし知れていたからでこそわからないこともある。時には壁にぶつかってしまい、現状に呪うことさえもある。そんなときに「あきらめない」心と思いがあっ […]

医学部

「医学部」と言うと、国公立の場合は難易度が高い、私学の場合は学費が高いといった印象が強い。とりわけ国公立の医学部は、花形の学部であり、人気は今もなお根強い。もっとも受験の中でも最大のハードルとしてある印象が強く、なおかつ医学部出身であることのブランドだけではなく、医者であることにより、収入が高く、安定するといった印象もある。 しかしながらここ最近の医学部は崩壊の一途を辿っている。医学部受験と行った […]

スティーブ・ジョブズ 結果に革命を起こす神のスピード仕事術

今から10年前の10月5日にAppleの共同設立者の一人であり、CEOとして辣腕を振るったスティーブ・ジョブズがこの世を去った。MacintoshやiPhone、iPadなど画期的なものを世に送り出した人物として知られており、紆余曲折を経た人物でも知られている。逝去直後から評伝や名言集などが多数発売されたことも記憶に残っている。 そのジョブズの仕事術はまさに型破りの印象があるかと思うのだが、実は私 […]

死ねない時代の哲学

人は遅かれ早かれ「死ぬ」運命にある。その死ぬ運命から逃れることはできないのだが、自ら死を選ぶこと自体がタブー視されている。もっとも自分の人生は自分で決め、なおかつ自身の死も選ぶという人は今昔では考えられている。しかしながら特に自ら死に場所を選ぶこと自体が「家族が反対しているから」「周囲が許さないから」という理由で死ぬことが許されない。もっとも延命治療を拒むことや尊厳死に関しての議論も行われているが […]

アラフォーになってようやく気づいたんだけど、私、たぶん向いてない。生きることに…… メンタル編

生きることには向き不向きはないと思っていたのだが、中には不向きだと思っている方もいる。現に本書の著者は40歳であり、二児の母である。義理の親と3世代で暮らしているのだが、苦しい毎日を送っていた。 そこで著者はTwitterでその日常を投稿したら、瞬く間にフォロワー数を伸ばし、2021年6月現在で97000フォロワーと100000に近づきつつある。 本書の著者は主婦であるが、自身も「うつ」になるとい […]

英もよう 女形ひとすじ 二代目英太郎の生涯

本書で紹介する人物は演劇、特に新派をご覧になる方々以外は馴染みが薄いかも知れない。劇団新派の俳優でありつつ、新派を越え、歌舞伎などの外部の公演でも女形を貫き、演じてきた。その俳優の名は二代目英太郎(はなぶさ たろう)である。新派では波乃久里子や二代目水谷八重子ら女優もいるのだが、男優でありつつ女形を貫いた数少ない俳優であった。2016年に逝去しているため没して5年経つが、英太郎がどのような生涯を貫 […]

#柚莉愛とかくれんぼ

アイドルは、英語で直訳すると「偶像」と表す。いわゆるシンボルようなものであり、なおかつ偶像であるが故に、非日常を演出している。もっともそういった事を生み出す方々は歌手に限らず、タレント、役者など幅広い。 そのアイドルに関してはそれぞれの「ファン」がいる。そのファンもまたアイドルに対しての愛情が深いのだが、中には愛情が歪んだ形で表してしまい、当のアイドルも迷惑となるケースも少なくない。 本書はアイド […]

板垣退助-自由民権指導者の実像

「板垣死すとも自由は死せず」 これは1882年岐阜にて遊説中に暴漢に襲われた事件にて発した言葉であるが、実際には「吾(われ)死するとも自由は死せん」である。それがメディアによって今のような言葉に変えられ、広まっていった。 板垣退助はいわば「国会の父」あるいは「憲政の父」とも呼ばれた。自由民権運動の指導者であり、なおかつ江戸時代では倒幕の主導者の一人としても有名である。その板垣退助の生涯について追っ […]