瞳のなかの幸福

人が「幸せ」を持つ要素は色々とある。大金を得る、あるいは成功をする幸せなどもあるのだが、身近な環境を変える、あるいは人・もの・ことを手に入れるなどで、得られる「小さな幸せ」がある。この「小さな幸せ」を集める物語が本書である。

本書はある女性会社員が、婚約破棄された過去を持ち、一人で生きていくためにマイホームを購入したことから始まる。一人暮らしでマイホームはかなり大きな買い物だったのだが。

しかしマイホームは広すぎて、私であれば場所を持て余してしまうのだが、主人公は一波乱はあれど、幸せに感じていた。そしてそのマイホームはに舞い降りたもう一つの「パートナー」がいた。そのパートナーは存在そのものが幸せ者で、自由気ままな姿で、チャーミングさがある。その一方でテレワークなど忙しいと邪魔をするような動物である。そう「猫」である。

この「猫」との関わりが、幸せをもらい、そして奪っていった。もっとも「猫」はかわいいのだが、「飼う」ことに対する責任もあれば、猫に翻弄される姿もあった。結末を見ると終始幸せというわけではなく、この「翻弄」される所で終わっているため、果たして「幸せ」は持ち続けられるのかという疑問さえ沸いてくるような一冊であった。