いつも鏡を見てる

その国の政府は、その国に生きる人の鏡である。

この言葉は社会・経済学者であり、近代の政治思想を生み出したマックス・ヴェーバーの言葉である。もっとも「鏡」と言う言葉は自分を映し出すだけでなく、その「背景」も映し出す。

そう言う意味で、本書は時代という名の「鏡」を映し出しているように思えてならなかった。本書は何かというと1970年代、1980年代~2000年代、2010年代、そして現在とタクシーの窓から見える社会を映し出した一冊である。

一つはオイルショック、一つはバブル経済から崩壊、一つはリーマン・ショック、そして新型コロナウイルスと、それぞれの世相がタクシーの窓から映している。タクシーは便利であると同時に、社会的なインフラであり、なおかつ「鏡」としての役割を有している。乗車する人たちの表情や言葉、さらにはバックミラーやサイドミラー、さらには窓からどのような風景が見えているのかを物語として表している。

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