リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来

経済にしても、産業にしても、技術にしても、様々な面で「シフト」している。特にここ最近では新型コロナウイルスの感染拡大により、否が応でも働き方の「シフト」をせざるを得ない所も出てきた。

では「生活」はというと、先述の感染拡大により「新しい生活様式」なるものが生まれ、ある意味「リビング・シフト」になっているのかもしれない。しかし実際は単純に「STAY HOME」と称し、家の中で働くまで完結するというようなものである。本書における「リビング・シフト」は東京から地方で働く・住むといったことにシフトする事を指している。では「リビング・シフト」によってどう変わっていくか、その指針を示している。

Chapter1「東京vs地域 地方人気はなぜ生まれたのか」

著者が代表をしている面白法人カヤックの本社は鎌倉市にあり、現在は鎌倉駅西口を出てすぐのところにある(JR鎌倉駅だとホーム逗子寄りのところに看板が見える)。なぜ鎌倉を選び、なおかつ場所の制約から解放され、今の働き方を行ったのか、東京と地方のあり方はどうなっていくかを取り上げている。

Chapter2「移住2.0 多角化する地域と人の関係」

カヤックでは色々な事業を展開しているが、被オッツとして移住推進サービスもある。いわゆるIターンである。故郷に戻ると言うよりも、自分自身の好みによって移住を行い、コミュニティを築き、仕事・プライベート双方でより充実したものにするという考え方である。

Chapter3「リビング・シフトが変える「働き方」」

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワーク・リモートワークは増えていったが、そこから戻った企業も少なくない。とは言えど、テレワークやリモートワークの推進はドンドンと増えていくが、フルリモートではなく、むしろ地域に根ざしつつ、場所を旅しながらも働くという考え方にシフトしている。

Chapter4「やっぱり「コミュニティ」は必要だった」

働く、暮らすところによる「コミュニティ」が生まれる。そのコミュニティを築き、育てることにより、価値観などをシェアし、自分の想像のつかなかったものが生まれるといった作用もある。カヤックではそのコミュニティを生み出すための試みがあり、それを明かしている。

Chapter5「リビング・シフトを知れば未来の経済がわかる」

世の中では様々な面で「進化」を遂げている。その進化のあり方は相容れられるかどうかは人それぞれと言えるが、そのなかでビジネスモデルはどのように築けば良いのかなどが挙げられる。

Chapter6「資本主義に代わるモノサシは地域にあった」

私自身も鎌倉市に住んでいるのだが、歩いていると「まちのコイン」というポスターが貼られているのを目にする。じつはこの「まちのコイン」もカヤックが手がけている。これは何かというと地域内の消費や活動を行う事によってコインを得たり、支払ったりするという新しい通貨体系である。私は現在使ったことはないのだが、使おうかと考えている。資本主義のあり方についても細かい「変化」があり、その変化についての展望を取り上げている。

働き方、資本主義、住まい、コミュニティ色々な面でシフトしつつある。そのシフトのあり方は東京中心主義から地方へと変わっていくことを本書で示している。かつて自民党が「地方創生」と銘打ったのだが、その創生を先導していくのは私たち企業などではないだろうか。