セゾン・サンカンシオン

「三寒四温」とは、

三日ほど寒い日が続いた後に四日ほどあたたかい日が続き、これを交互にくりかえす現象。中国北部・朝鮮などで冬季に見られる「広辞苑 第七版」より

とある。日本にはおそらく縁遠い四字熟語であり、強いてあるとするならば春か秋くらいかもしれない。夏だったら「七暑」、冬だったら「七寒」と言った方が良いかもしれない。

それはさておき、三寒四温は季節の部分の他に、人のモチベーションの所でも意味合いがある。「人生山あり谷あり」と言う言葉があるのだが、良いときもあれば、悪い時がある、その交互の繰り返しを三寒四温という四字熟語にも当てはまるのかも知れない。

本書のタイトルが「サンカンシオン」と書いてあるため、どうしてもこの四字熟語を言及してしまったため本書の話に戻す。本書のタイトルは主人公の母親が入所する「施設」の名前である。なぜ入所するのかというと主人公の母親はアルコール依存症により入院していたが、やがて退院し、依存症を克服するための施設として「セゾン・サンカンシオン」に入所することとなった。

見学から実際の入所までを手伝った主人公は、アルコール依存症にかかった母親との関係は決して良くなかった。しかし別のアルコール依存症患者との出会いによって、考え方が大きく変わっていった。なぜ依存症になるのか、そして家族とはなにか、それを考えさせられる一冊であった。

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