私自身、病院に行くことはあまりない。そのため医者の診断はどのようにやっていくのかはハッキリとわからない。しかし病気になった方々が医者にかかることはあるのだが、医者の立場からして、どのような診断を行っていくのかは少し興味深い。
さて、医者はどのように病気を診断し、治療に導くのか、本書は現役医師の立場から診断するまでのプロセスを明かしている。
第1章「診断とは」
なぜ「診断」をするのか、それは病気と原因を探り、治療するための対処方法(薬や注射など)を模索していくことが主である。では、どのような診断方法があるのか、本章では画像や病理、臨床などの診断方法と証拠の提示などを取り上げている。
第2章「素人の診断、プロの診断―プロ診断医はどこが違うのか」
では診断をするにしても、最終的に決めるのは医師である。その医師がどのようにして診断までを導いていくのか、その思考法を取り上げている。中身はかなり数学的である。
第3章「診断で使う思考法」
診断を行う中で、症状や改善方法など、考えるべき事がたくさんあるのだが、症例があるからと言って、全て同じような症状・改善で治るというわけではない。そのことを考えると、様々なデータをどう分析して行くか、そこに「思考法」がある。ではどのように施行を行っていくか、本章では事例と共に取り上げている。
第4章「プロ診断医の視座―形態によらない診断」
著者自身が診断を行うために、どのような視点で、考え方で行っていくかの中核に入る。実際に形式的に、どのようなものかというのを考えて診断を行うケースが多いと言うが、著者は視点をいくつか持ち、どのように診断するのかを提示している。
第5章「時間を見て、動かす」
診断が早ければ「早期発見」に繋がり、早期治療にも役立てられることは多くある。そのため、どれくらい診断に時間を費やすべきかを取り上げている。
第6章「みえないものをみる!―『四次元』」
決してドラえもんになれという話ではない。診断を行っていく中で広く深く考えるという意味合いで言及している。
第7章「究極の診断のために」
診断を行う要素としては「早さ」と「正確さ」があるのだがいかにして見出しつつ、診断を行っていくか、著者自身も課題があり、どのような視点が必要なのかを提示している。
読んでいくうちに、「医者の思考法」と言う本なのか、それとも「診断術」なのかがハッキリとしないような本だった。もっとも「医者がどのように診断するか?」が主眼であれば、診断までのプロセスをもっと言及してほしく、逆に「思考法」のみにフォーカスを当てるのであれば、タイトルそのものを「医者の問題解決法」や「医者の思考法」といったタイトルにした方が良かったのではないかと思う。