超一流の諜報員が教える CIA式 極秘心理術

CIA(中央情報局)は世界でも有数の諜報機関で、とりわけ国家安全保障に関しての情報を収集、処理、分析を主としているが、情報を得るための諜報員はありとあらゆる手段で情報を得ようとしている。その中でも心理術は長けており、本書ではビジネス書としてどのような心理術を駆使してきたのかを伝授している。

第1部「スパイはこうして相手の心をつかむ」

本書でよく使われるのが「SADRサイクル」と呼ばれるものであり、

「SADRサイクル」、別名「諜報サイクル」は4つの段階で構成されている。新たな協力者を獲得するという目標を達成するには「狙いを定める(スポッティング)」「評価する(アセッシング)」「人間関係を築く(デベロッピング)」「勧誘する(リクルーティング)」という4つの段階を踏まなければならない。この4つの段階がSADRサイクルだ(Spotting,Assessing,Developing,Recruitingの頭文字を取り、SADRと省略されている )。p.56より

とある。ようは人を介して情報を得るため、4つのサイクルをもとに情報を得ると言ったものであり、会話にしても、人間関係にしても、構築や駆け引きなどが求められる。もちろん構築や情報を得ることにしても「タイミング」が大事になってくる。

第2部「スパイが駆使する「究極の判断力」」

諜報員、つまりスパイはいかにして相手の心に入っていき、関係を築くかと言うのもあるのだが、悪い意味もあるかもしれないが、相手からの信用を引き出しつつ、状況に応じたの判断を行っていく事が大切になる。また情報を得るための「準備」や「報告」も大切あり、そこからこれからの諜報活動に向けてどのような「学び」を持っていくかも必要になってくる。

本書は「心理術」というネーミングであったのだが、実際に記載している内容としてはむしろ「姿勢」や「マインド」である部分が多くある。しかしながら情報を得るためには、相手の心に入っていくことが求められるが、誠実な姿勢とマインドを持つことにより、相手からの信頼を得ることができるようになり、それが貴重な情報をもたらすのだという。しかしそれだけでは成り立たず、諜報活動を行うためにも準備や評価などのサイクルが必要であり、それが世界有数の諜報機関たらしめる根幹の一つと言えるのかも知れない。