よくスーパーに行くと安売りしている商品には「訳あり商品」といったものがあり、住宅情報や不動産屋のところでは「訳あり物件」なるものが存在する。
本書で紹介される「マンション」は築40年で年季も入っているのだが、ある種「訳あり」という感がある。よくある「訳あり」は設備が古くなっているといった種類や、近くに墓地があるといったわかる側面から、あらかじめ「告知事項あり」といったもので仲介業者、あるいは貸主から注意事項があるといったものがある。
本書で取り上げられるマンションの住人はもちろんのこと、環境そのものがもしかしたら「告知事項あり」に該当するのではと思えてならない。本書の話にも言及するが、このマンションでは連続行方不明事件が起こり、なおかつ住人たちの奇妙な「風習」がある。またその住民たちも何かしらの「異常」な部分があるため、事件とともに、異常な住民たちの「狂気」さが恐怖を生む。まさに「ホラーミステリー」であり、背筋の凍る展開の連続である。暑い時期には「納涼」が必要であるのだが、違った意味での「納涼」ができる一冊である。
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