米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く

「日中貿易戦争」と呼ばれる貿易摩擦が現在もなお起こり続けている。元々の発端は前大統領である、ドナルド・トランプが米大統領選に立候補している中での期間中、中国に対しての貿易摩擦が起こっているといった主張を行ってからである。それから米中で会談は行っているものの、進展がなく、平行線の状態が続いている状況にある。

本書は今も続いている米中貿易戦争とは何か、そして米中を主軸とした他の国々はどのような状況に置かれているのか、そのことを取り上げている。

第一章「乱舞する「米中露朝」、陰湿な「日韓」」

中国では様々な企業が世界進出をしている。特にタブレットやパソコン、スマートフォンの精密機器メーカーとして名を馳せているのが「ファーウェイ(HUAWEI)」である。このファーウェイを巡ってアメリカでは禁輸を行う、あるいは利用そのものを規制するといった動きを見せた。2018年の事である。このときから米中トップである、トランプと習近平の衝突が幾度となく起こった。

第二章「ファーウェイを「解剖」する」

最近ではメディアなどで「ファーウェイは中国政府の息がかかっている」といった主張がよく見聞きするのだが、果たしてそれは本当なのだろうか。その真相を本章にて検証を行っている。確かに企業によってはZTEといった中国の「国有企業」は存在するのだが、ファーウェイは完全に「民間企業」である。また政府の支援についても断っているといった記載がある。とはいえ完全に距離を置いているかというとそうではなく、先述のZTEと共同開発しているものもいくつかあり、完全に息がかかっていないとは言えない。

第三章「米中「ハイテク覇権争い」のゆくえ―米国防報告書を読み解く」

ハイテクに関しての戦争はとりわけ米中で激しく起こっている。もちろんその中にはインドやロシア、日本も入っているのだが、特に規模の面からして米中の印象が強い。本章ではアメリカの国防報告書があり、その中で記されている「ハイテク」に関しての「戦争」を、軍事的な状況から紐解いている。

第四章「米中インタビュー合戦」

実は本書ではファーウェイの創業者であり、現在もCEOとして活躍している任正非のインタビューを行っており、その主張をいくつか取り上げている。またそれだけではなく当時の国務長官であったマイク・ポンペオや駐日米国大使の証言をもとに、ファーウェイを巡っての米中対立を明かしている。

第五章「二極化する世界」

この貿易戦争を通じてかどうかは不明だが、経済を含め米中といった2カ国が主軸となり、そこに他の国々が取り巻いている状況である。またハイテクはもちろんのこと、AI技術においても米中での駆け引きがあった

第六章「金融戦争に突入した米中貿易戦争」

貿易戦争は金融面にも影響を及ぼしており、特に「関税」と言った所での駆け引きによるものもあった。他にもアメリカでは中国に対して「対中制裁」として「為替」などのコントロールも行うようになった。

第七章「地殻変動と中国が抱える諸問題」

現在、世界は「米中」の争いが主軸となっている。もちろんその争いにも変化が生じており、各国とも諸問題を抱えている現状もある。その中で日本はどのような立ち位置を持ったら良いのか、そのことについて取り上げている。

冒頭でも記載があるように米中貿易戦争は今も続いている。とはいえ大統領がトランプからバイデンへと変わったたため、戦争はこれからどうなるのか不透明である。また本書が出版されたのは一昨年の11月であるため、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、貿易どころかワクチン戦争といったシフトもある。そう考えると今も続いているのだが、今後の展開自体がまさに「不透明」という他ない。

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