「役に立たない」研究の未来

大学や研究所では常日頃から研究が行われている。普段の生活や技術革新などに役立てられるものもあれば、中には役に立たないものもある。もちろん未来の研究の参考となるようなノーベル賞級ものものもあれば、「猫は液体」「スピーチジャマー」など役には立たないが思わずクスッとなるようなイグノーベル賞級のものまである。

そもそも研究自体はすぐに役立つと言えば大間違いである。研究によっては「基礎研究」と呼ばれる自然や現象について考察を行い、後々の研究の参考となるようなものまである。そもそも役に立たない研究は必要なのか、もし必要であるとするならば、どこに未来があるのか、そのことを取り上げているのが本書である。

第一部「「役に立つ」ってなんだ?――プレゼンテーション編」

「役に立つ」研究ももちろんあるのだが、そもそも研究のテーマの一つとして、研究者自身の「興味」から生まれるものが多い。もっともその「興味」は必ずしも「役に立つ」とは限らない。

第二部「これからの基礎研究の話をしよう――ディスカッション編」

冒頭でも取り上げた通り「基礎研究」は「役に立つ」とはほど遠い最たるものの一つで遭う。しかしながらこの基礎研究によって、その後の研究の礎を築くことができるようになる。特に近年では頻繁に日本人ノーベル賞受賞者が出てきていたが、昨年は日本人のノーベル賞受賞者は出なかった。特に科学などの研究において、基礎研究は重要な要素であり、かつノーベル賞受賞者が消えてしまう要因になるとさえ主張している論者もいる。

確かにその場では役に立たないのが基礎研究であるが、この研究があるからでこそ、次なる研究の糧となり、参考になる。

第三部「科学と社会の幸福な未来のために――対話を終えて」

そもそも基礎研究はもちろんのこと、「役に立たない」言われる研究は、後の所で役立つことが多くある。もちろんそれは技術革新の糧になることもあれば、他の研究の材料として扱われることもある。

そもそも「役に立つ」とは誰に対してのことか、という視点を変えることによって、もしかしたら周囲からは「役に立たない」ものが「役に立つ」と考えるケースも少なくない。しかし「どこかで」役に立つ、と言うことを信じて、日夜研究に励んでいる。