データで読み解く「生涯独身」社会

非婚化・晩婚化が増えてきているといった話は何度か書いたことがあるのだが、実際に結婚せずに、生涯独身を通した場合の社会はどうなっていくのか、またなぜ結婚する人が減少してしまうのか。要因としても様々であるのだが、本書では様々なデータでもって、生涯独身となり得るのか、そのことについて取り上げている。

第一章「結婚願望がないのか、叶わないのか」

「結婚したくない」人が増えている、あるいは草食化が進んでいるといった議論があるのだが、実を言うと、「したくてもできない」側面も存在する。ほかにも、結婚観の変化といったものもあり、本章では寓話の一つである「アリとキリギリス」に当てはめて説明している。アリとキリギリスの物語をある程度理解していると、本章での説明と非婚化の理由が腹落ちしやすい。

第二章「「結婚の壁」のリアル」

「結婚の壁」と言うと、経済的な理由のみならず、趣味嗜好の理由などもあるかもしれない。しかしながら他にも結婚はおろか、恋愛に踏み切れない「理由」も存在する。経済的なものよりも、むしろ「やり方」や「考え方」といった所に厚い「壁」が立ちはだかっていた。

第三章「親子同居という「甘い罠」」

結婚という考え方の中で、このような話もある。

一般的に日本では、「独身貴族」という言葉もあるように、「結婚=重荷・金銭的負担増」と考えている人がまだまだたくさんいます。気楽にお金を使える一人暮らしと違って、結婚してしまうと自分だけが自由に使えるお金はわずかしかない。結婚は人生の墓場だ――。そんなイメージが語られることさえあります。p.161より

恥ずかしながら私もそのようなイメージを持っている。その理由もあり、今もなお結婚できないのでは、と考えてしまう。しかし本章ではそれを払拭するために結婚がいかに「得」なのかもデータをもとにして説明している。また親子同居となると家賃などのコストが安くなるというイメージがもたれるが、実はそこには「罠」が存在しており、そのことも本章にて説明している。

第四章「“毒親”が未婚化を加速させる」

未婚化は自分自身ばかりが要因ではない。周囲の環境はもちろんのこと、周囲の人々もまた要因としてある。特に親の存在といったものも要因の一つとしてある。

非婚化・晩婚化を考えていくと、様々な統計が有、それらを分析して行くと複合的な要因がある事がよく分かる。と同時に自分自身も含めてあった幻想を崩壊し、本当の意味でこれからどうしたら良いのか、と言う考える糧にもなる一冊と言える。