ジャック・デリダとの交歓 パリの思索

ジャック・デリダは20世紀~21世紀にかけて活躍した現代哲学を代表する人物の一人である。フッサール現象学から出発し、ハイデガーの哲学を批判的に考察を行った人物としても有名である。

本書の著者は言語学・哲学者であるが、フランス留学を長らく行っており、その中で実際にジャック・デリダとの交流があった。その交流の中で著者自身が見てきたデリダの哲学とは何かを綴っている。

第1章「出会いから最初の発表まで」

著者がデリダに初めて会ったのは1986年、博士号を得て、大学講師としての仕事を行っているときのことである。大学における「セミネール(日本の大学におけるゼミと同意義)」の申込みを行ったときのことだった。著者自身も当時はフランス語に自信がなかったとあったのだが、果敢にフランス語と、哲学についての議論をデリダにぶつけていった。

第2章「ハイデガー問題」

ジャック・デリダの哲学の中で、特に際立っているものとしてハイデガー批判である。このハイデガー批判は著者との議論の中でどのような展開を行ってきたのかを取り上げている。

第3章「動じないこと機械のごときデリダが揺れるとき」

著者自身、デリダと議論を行っていく中で、間違えない精密機械、いや「哲学機械」のように感じた。しかし「機械」にもごくまれに誤作動やエラーが起こる事もありうる。「機械」と思われたデリダとて例外ではなかった。その間違いや誤り、動揺に対してどのような様子だったのかを議論の状況を踏まえて記している。

第4章「ベンヤミン」

ベンヤミンとは、ドイツの哲学者であるヴァルター・ベンヤミンのことを指している。そもそも著者がデリダのセミネールに入ったときはちょうどデリダの哲学が「政治的転回」される前後のことであり、そのことからベンヤミンの哲学に関しての議論を行うようになった。

第5章「「転回」時におけるベンヤミンへの破格の申し入れ」

ベンヤミンの哲学を研究・議論を行っていく中で、ある「申し入れ」が話題となった。その申し入れ自体がデリダ自身におけるベンヤミンをどのように扱っているのかを示していた。

著者自身もデリダの哲学に影響を受け、なおかつ議論を行ってきたことによる交流が生まれた。その交流と議論と哲学が詰まった一冊である。

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