地球には北と南で「極地」がある。ご存じの方も多いと思うが南極と北極である。特に南極は船などを利用して何日もかけて行かなければたどり着けない。2007年に宇宙飛行士の毛利衛が「宇宙よりも遠いですね」と言う一言が有名で、後にアニメ「宇宙よりも遠い場所」の由来にもなっている。
ところが昨今では地球温暖化が叫ばれており、その象徴の一つとして北極と南極の温暖化による変化がある。その温暖化の観点から北極と南極はどのような影響を及ぼしてきたのか、本書はそのことについて取り上げている。
第1章「極地観測の歴史―極地探検から極域科学研究へ」
北極はいわゆる北極海での航海の中で探検を行い、南極では日本で言う所では「昭和基地」など、各国の「基地」をもとにして観測を行っている。その観測の歴史において日本ではどのような事を行ってきたのかを取り上げている。
第2章「南極,北極とはどういうところか」
北極と南極では大きな違いがある。大まかな違いは冒頭での述べたとおりであるが、では大気の構造、昼夜の差、気圧、気温分布などより具体的な観点でどのような違いがあるのかを列挙している。
第3章「地球温暖化とは―気候の決まる仕組みと温室効果」
本章ではより具体的に地球温暖化とはどのようなものかを説明している。もっとも地球温暖化の要因として挙げられる「温室効果ガス」とは何か、そしてその温室効果ガスは地球の温度に対してどのような影響を与えているのかが記されている。
第4章「北極温暖化増幅―GRENE 北極気候変動研究1」
本章と次章の2回に分けて北極での温暖化の幅がどのように変わっていったのかを取り上げている。本章ではあくまで気温がどれだけ上がっていったのか、そしてその幅はどのようなものなのかを取り上げている。その温度の変化によって海氷がどのように変わっていったのかにも言及している。
第5章「北極温暖化の影響―GRENE 北極気候変動研究2」
本章では北極のみならず、周辺としてグリーンランドの変化を始め、陸上における生態系の変化、さらには海洋面の変化など、北極圏の気温の変化が周辺、さらには地球全体にどのような影響を及ぼすのかを挙げている。
第6章「南極観測最前線」
南極の観測は国によって場所が異なる。日本でも昭和基地をはじめ、その中継地点からドームふじと呼ばれる周辺の所に制限されている。その中でオゾンホールの観測とエアロゾルと呼ばれる大気中の浮遊微粒子が温暖化によってどのような変化となっているのかを取り上げているのが本章である。
第7章「南極温暖化」
地球温暖化でもっと顕著になっている場所として北極もあるのだが、南極もまた顕著な事象が起こっているという。では南極ではどのような気温の変化が起こっているのか、また北極と比べるとどうなっているのかを取り上げている。
第8章「氷河期の南極・北極のつながり」
南極と北極というと、完全に地球の表裏となっており、ハッキリと異なっていると言うほかない。しかしながらこの2つの大陸では氷河期において、ある「つながり」があったのだという。その真相として氷の質、さらにはその下にある地層の観点から分析を行っている。
第9章「私たちにとって、今、南極、北極とは」
地球温暖化による海面上昇もまた考えるべきことの一つである。特に南極は大地が氷に覆われているため、その氷が溶け出すと、海面の高さが上昇する。それを避けるために世界的に何をすべきなのかを提言している。
日本からでは物理的に遠い北極と南極。しかし地球温暖化を考えるとこの2つの場所は看過できない所にある。もちろん温暖化の傾向を分析するために2つの場所で観測を行ってきた。その観測によってどのような傾向があるのか、そしてどのような対策が必要なのか、この2つの地域の傾向で明らかになっている。
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